公正取引委員会は、巨大IT企業への規制強化や中小企業の取引適正化に対応するため、来年夏にも組織体制を抜本的に強化する方針を固めた。約30年ぶりとなる大幅な組織改編で、現在の2局体制から3局体制へ移行する。
30年ぶりの組織改編、新局設置へ
公取委は現在、競争政策の企画立案やM&A審査などを担う「経済取引局」と、カルテルや談合を含む独占禁止法違反事件の調査を担当する「審査局」の2局体制。来年夏以降は、審査局を維持した上で、新たに2つの局を設置し、計3局とする。組織体制は独占禁止法で規定されており、公取委は来年の通常国会に改正案を提出する方針。新設する局の名称は今後検討する。
経済取引局を再編、専門性を強化
現在の経済取引局は、中小企業やフリーランスの取引監視、スマートフォンの基本ソフトウェア(OS)などを支配する巨大IT企業への規制、M&A審査など幅広い業務を担当。組織改編により、今年1月に施行された「中小受託取引適正化法」(旧下請法)の運用など中小企業分野を主に担当する局と、デジタル分野とM&A審査を主に担当する局を新設する。これにより、各局が専門的な業務に集中できる体制を目指す。
地方拠点も格上げ、監視体制を全国的に強化
地方の拠点についても、従来の「地方事務所」をより規模の大きい「地方事務局」に格上げすることを検討。全国的な監視体制を強化し、コスト上昇分を中小企業が取引価格へ転嫁する動きなどを後押しする狙いがある。
背景:法律増加と職員増
公取委は社会のデジタル化や経済状況の変化に伴い、運用する法律が増加。近年では「フリーランス取引適正化法」(2024年施行)や巨大IT企業を規制する「スマホソフトウェア競争促進法」(25年に全面施行)などが加わった。1996年度に約530人だった職員の定員も、2026年度には約2倍の約1000人に増加している。
自民党からの提言を受けて
こうした状況を受け、自民党の競争政策調査会(会長・鈴木淳司元総務相)は今年5月、政府に対して「局の新設といった体制の抜本的な強化を行うべきだ」と提言していた。公取委はこの提言を踏まえ、組織改編の具体化を進める。



