人手不足が深刻化する中、製造業ではロボットやAI(人工知能)の導入が加速している。しかし、機械やソフトウェアを導入しただけで競争力が高まるわけではない。重要なのは、それらを現場でどう生かすかという「実装力」である。
RBBの強みは3Dシミュレーションと現場力
「RBB株式会社」(市川三郷町)は、その実装力を武器に成長を続けている。代表取締役の鄭東平氏は、中国から日本に留学し、県内の専門学校で自動車整備を中心に学んだ。卒業後は県内企業に勤務し、2016年に同社を設立した。
起業当初は、コンピューター利用設計(CAD)の技術を生かし、制御盤内ハーネスの製作を主な事業としていた。その後、ファナック製品の納入先でシステム開発を手がけるようになり、現在ではロボットシステムおよび産業用ソフトウェアの企画・設計・開発・販売・保守に加え、顧客へのサポート業務まで一貫して担っている。
最先端だけに頼らない堅実な経営
同社はロボットメーカーではないが、ロボットを稼働させる前に3Dシミュレーションを活用し、生産ラインや作業工程を仮想空間で再現できることを強みとしている。これにより、納期の短縮や品質の向上を実現するだけでなく、顧客が安心して設備投資を行える環境づくりにも貢献している。
興味深いのは、最先端技術だけを追い求めているわけではない点である。制御盤内ハーネスの製作など、現場に根差したものづくりを堅実に続けながら、その経験やノウハウをロボットやAIの分野に生かしている。現場を熟知している企業だからこそ、「技術ありき」ではなく、「現場に役立つ技術」を提案できるのである。
次世代技術への挑戦と収益基盤の両立
さらに近年は、ヒューマノイドロボットやフィジカルAIといった次世代分野にも積極的に挑戦している。一方で、将来性だけに依存することなく、既存事業を経営の土台として着実に育てている点も見逃せない。足元の収益基盤と未来への投資を両立させる経営姿勢は、多くの中小企業にとって参考になるだろう。
企業の競争力は、目に見える設備や製品だけで決まるものではない。現場を深く理解し、課題を先回りして解決する技術力、人材を育て続ける組織力、そして未来を見据えて挑戦を続ける姿勢。こうした「見えない強み」の積み重ねこそが、企業の持続的な成長を支える原動力となる。



