夏季休暇を取得した従業員が、休みが終わっても無断欠勤を続けている場合、企業はどのように対応すべきでしょうか。連絡が取れない状況には、事故などの不慮の出来事に巻き込まれている可能性と、精神的な不調などで連絡を返せない状態の2通りが考えられます。社会保険労務士の佐藤敦紀氏が、具体的な対応手順を解説します。
まずは本人への連絡と安否確認
無断欠勤への最初の対応は、本人への連絡です。無断欠勤だからといって会社から何もしないということはありません。電話やメールで「どうしましたか」と連絡を入れること自体に問題はないため、まずは状況を確認します。いつ、どの方法で連絡したかも記録しておきましょう。
返答がない場合は、本人以外の連絡先を当たります。あらかじめ届け出てもらっている緊急連絡先や、家族への連絡です。事故に巻き込まれているのであれば、本人にいくら電話やメールをしても届きません。代わりに連絡が取れる相手を速やかに探すことが必要です。
それでも状況が分からなければ、自宅を訪ねるという選択肢もあります。緊急連絡先に確認しても分からない場合、事故なのか体調不良なのかを判断する材料がないためです。体調不良で自宅で倒れている可能性も考えられます。無断欠勤が2~3日と続いた段階で自宅を訪ねる分には、問題はないでしょう。
就業規則に基づく対応と解雇手続き
精神的な不調などで本人が連絡を返していないと判断される場合は、就業規則に沿った対応に移ります。多くの会社では就業規則に「無断欠勤が2週間続いた場合は諭旨解雇もやむを得ない」といった規定を設けています。連絡がつかない状態が続くのであれば、この規定に従って手続きを進めることになります。
ここで大切なのは、2週間が経過するまで会社が動かずに待つ、という意味ではないことです。返答があるかどうかにかかわらず、会社としての状況や今後の対応を本人に知らせ続けておきます。この積み重ねが、後の手続きを進める上での根拠になります。
就業規則の規定に従って進めるのであれば、会社の対応が直ちに問題になることはないでしょう。ただし、実際に解雇まで進む場合は、連絡や通告をどう重ねてきたかという経緯が意味を持ちます。解雇する前に退職届の提出を促すことをお勧めします。従業員から退職届を取得すれば、後で「不当解雇だ」と争われるリスクが減るからです。返信がなければ解雇に進みますが、その際も解雇通知書を送る必要があります。
記録を残し、個別の状況を踏まえて判断
いずれにせよ、記録を残した上で、個別の状況を踏まえて判断してください。なお、本人の氏名が取れない場合の取り扱いも用意されているため、離職票が作成できなくなるわけではありません。
無断欠勤への対応は、事故の可能性を疑いながら本人と周囲に連絡を密にし、その記録を残していく作業でもあります。就業規則に規定を整えておくことと、緊急連絡先を最新の状態に保っておくこと。この2つが、いざというときに会社を助ける備えになります。



