星野リゾート、DXで3.4万時間削減 経理は週3日・パート1人で回る仕組み
星野リゾートDXで3.4万時間削減 経理は週3日パート1人

星野リゾート(高山市)は、AI活用をはじめとする現場業務のDXを推進し、累計3万4169時間の業務時間削減に成功した。AIの活用事例は9カ月で470件以上に上る。さらに経理では、グループ全体の売り上げ約36億円を、パート従業員1人が週3日勤務・フルリモートで担う仕組みが整っている。

「無駄」を12年間見直し続ける

1877年創業の星野リゾートは、2002年に旅館からリゾートホテル特化型のビジネスホテルへ事業転換。現在は中四国と九州で7店舗を展開する。同社は2014年からDXに取り組み始めた。当時、売り上げは順調に推移していたが、現場は人手に頼った「属人経営」の状態だった。年間休日は72日間、有給取得率は30%台で離職率も高く、店舗拡大も進められなかった。

代表取締役会長の星野佳路氏は「このままでは持続的に事業を成長させることは難しい」と考え、働く環境を整え人の力を最大化するためのDXへの第一歩を踏み出した。管理システムやBIツールの導入、アプリ開発、AI活用などDXを推進した結果、累計3万4169時間の業務時間削減に成功。AIの活用事例は9カ月で470件以上に上る。

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星野モデルが生んだ経理の自動化

2014年、DX推進に向けた環境整備を進める中で星野会長は「多くが『無駄』が見えてきた」と話す。請求書は紙で保管し、売り上げや客数などの数字を複数の資料に何度も入力していた。特に「紙」が多いことが最初の気付きだった。

そこで毎月1回、無駄をどう減らすかを議論する会議をスタート。紙でのやりとりを極力減らし、手入力を減らす。その繰り返しを12年間、休むことなく続けている。「無駄を減らせば仕事がしやすくなってサービスが良くなる。サービスが良くなれば顧客の評価と収益が上がり、また職場に投資できる。働きやすくなれば人が定着する。人の好循環と仕組みの好循環」。この2つを回す考え方を同社は「星野モデル」と名付けた。

かつて同社の経理業務はベテラン社長が1人でほぼ全てを担っていたが、2013年に退職。週3日勤務のパート従業員1人が引き継ぐことになった。その後2014年、全社の環境整備が始まると星野の経理も変化し、パート従業員が自ら会計ソフトを更新して伝票を全廃。経理を一気にデジタル化していった。

現在、グループの売り上げは約36億円。その経理を、パート従業員1人が週3日勤務・フルリモートで担っている。店舗が増えても、労働時間は増えていない。支えているのは自動化の仕組みだ。売り上げ、入出金などのデータは自動で取り込まれ、仕訳も自動で処理される。数字を人が入力し直す工程を極力なくしている。

会計ソフトは2年前、クラウド型のサービスに移行した。移行の決め手は、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応が自動で叶うことだった。いまは勤怠のシステムも連携し、従業員に関するデータの統合も進めている。会計で実現したデータが自動で回る状態を、人の領域にも広げるためだ。

「経理を1人で担っている従業員は『この先、店舗がいくら増えても、仕組みが整っているので大丈夫』と話しています。頼もしい限りです」と星野会長。経理の次のテーマはAIエージェントの活用だ。会計ソフトにもAIエージェント機能を搭載する流れがあり、それが進めば自社で特別な仕組みを作らなくても経理の実務をAIに任せられる。星野会長はこの流れを「待った待った」と期待する。

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