ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い、個人が特定の不動産に10万円などの小口から投資できるサービスが広がっている。大きな元手や手間が必要なく、気軽に始められるのが特徴だ。ただ、ローンで不動産を取得している場合、日本銀行の利上げで金利負担が増すと投資家の利回りが低くなるリスクもあり、注意が必要だ。
「預金と株の中間」不動産セキュリティートークンとは
福岡県に住む40代の会社員男性は、東京・浅草や銀座のホテルなど8件の不動産に、計700万円余りを投資した。「都心部の良い物件は価値が上がっていく」と考え、三井物産デジタル・アセットマネジメントが運用・販売する物件から、想定利回りが4%を超えてくるものを選んだ。
男性が買ったのは、オフィスやホテル、マンションや物流施設などの権利を小口化したデジタル有価証券「不動産セキュリティートークン(ST)」。通常はプロの機関投資家が扱う個別の大型物件を、個人が「10万円」などの小口で購入できるようにしたのが特徴だ。
大型不動産の権利の小口化は、管理コストがかさむことなどから進んでこなかった。だが、管理者なしでも取引記録の改ざんが難しく、履歴も全て公開されるブロックチェーン技術の登場で、低コストでのSTの発行や移転が可能になった。
市場は5年で約7千億円に拡大
2020年の金融商品取引法の改正でSTの法的な位置づけが定まり、21年から不動産を対象とした商品の取り扱いが始まった。不動産ST市場はこの5年間で約7千億円まで拡大した。
運用期間は5年程度のものが多く、価格は年1~2回の鑑定評価によって変動する。一度投資すると物件が途中で売却されない限り、満期まで換金できないことが多い。
福岡の男性は、子どもの教育資金として定期預金に置いていたお金の一部を振り向けた。途中で換金できないのは定期預金と同じだが、定期預金よりも高い利回りが期待できる。「安全資産の預金とリスクを取る株式投資や投資信託の中間だ」と男性は話す。
増える大型案件、大阪の高級ホテルも
不動産運用会社がメガバンク…



