学研ホールディングスが、出版事業の不振によるジリ貧から戦略的M&Aで介護事業を拡大し、業界トップに躍り出た。本社ビル売却などの苦境を乗り越え、"両利き"の成長戦略で復活を遂げた背景を解説する。
出版事業のヒットと反動
2012年、学研は出版事業で大きな成功を経験した。女性向けエクササイズ本『樫木式カーヴィーダンスで即やせる!』シリーズは累計400万部を突破。さらに『寝るだけ!骨盤枕ダイエット』シリーズも200万部を超える大ヒットを記録した。
これらのシリーズは、テレビなど各種メディアでも引っ張りだこのコンテンツに成長し、大きな話題になった。わずか2年間で50億~60億円規模の売上を生み出し、業績回復を後押しした。
ブーム終焉と赤字の判明
しかし、ブームは永遠には続かない。特需が終わると大きな反動が訪れた。売上計画を見直した結果、出版事業だけで約6億円の赤字になることが判明したのである。社内外からは厳しい声も上がった。
「だから無理だったんだ」「無茶をやりすぎた」「やっぱり出版は縮小すべきだ」といった意見が出てもやむを得ない状況だった。
教育事業全体で出版を支える
だが、宮原社長は撤退を選ばなかった。当時の学研は、学習塾など安定収益を生み出す教育サービス事業が順調に育っていた。出版だけで採算を見るのではなく、教育事業全体で支えるという発想だった。
学研ホールディングス代表取締役社長・宮原博昭氏は、2010年の社長就任後、大規模な経営改革に着手した。
「かつて業績悪化した時の、銀行側の冷たい対応が忘れられない。絶対に赤字になるわけにはいきませんでした」と宮原氏は語る。



