学研HD(以下、学研)は、1946年に古岡秀人が「戦後の復興は、教育をおいてほかにはない」との信念に基づき設立した学習研究社に端を発する。その後、『学習』『科学』などの出版物で広く知られる存在となり、教育・出版を柱に事業を拡大してきた。2004年には介護事業の子会社を設立し、医療・介護分野にも進出。現在の学研は、教育だけでなく、出版、塾、医療・介護、子育て支援などを展開する企業グループへと姿を変えている。
売上は5期連続増収、介護が教育に並ぶ大黒柱に
学研の直近5期の業績を見ると、売上高は5期連続で増加しており、営業利益も2023年9月期に一時減少したものの、全体として増加傾向にある。その内訳である「教育分野」と「医療・介護分野」の推移は以下の通りだ。教育分野では、学研教室や塾、出版コンテンツ、園・学校向け事業を展開。M&Aで市進HD(首都圏で学習塾を展開)や宮原書店などをグループ化した効果もあり、売上高は2021年9月期の789億円から2025年9月期には約954億円まで拡大した。一方、学研教室や塾は少子化の影響を受けやすく、出版事業も用紙代の高騰や返品率の悪化などにより、年度によって利益が変動しやすい面がある。
介護事業が成長を牽引、売上は950億円に
医療・介護分野では、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や認知症グループホームの拠点拡大、高い入居率の維持により、売上高は2021年9月期の657億円から2025年9月期には950億円まで増加している。高齢化という追い風を受ける分野であり、今後も需要が見込まれる。ただし、施設開設や人材確保などコスト負担も重い事業であり、営業利益率は教育事業と同様、おおむね4〜5%台で推移している。つまり学研は、教育と医療・介護の両分野で規模を拡大してきた一方、収益性の面ではまだ大きな改善余地を残していると言える。
業績は過去最高も、株価は半減…なぜ?
学研の株価は、2022年9月期の決算発表後に約1800円の高値をつけた後、2025年7月現在では約900円と半減している。その背景には、投資家の間で「介護事業の収益性」への懸念がある。介護事業は需要が堅調な一方、2024年度の介護報酬改定で収益が圧迫される可能性が指摘されている。また、人材不足によるコスト増や、競争激化による施設稼働率の低下リスクも懸念材料だ。さらに、学研全体の営業利益率が4〜5%と低水準であることから、成長性に対する評価が割り引かれている面もある。
今後の事業展開と課題
学研は、教育と介護の両軸で事業を拡大しているが、収益性の改善が急務だ。教育分野では、デジタル教材やオンライン学習の強化、介護分野では、高付加価値サービスの提供や業務効率化による収益率向上が求められる。また、M&Aによる規模拡大だけでなく、既存事業の収益性を高める戦略が重要となる。学研の今後の動向が注目される。



