カカオ不使用のチョコ風食品「アノザM」、高騰するカカオ豆の代替で注目
カカオ不使用「アノザM」、代替チョコとして存在感

不二製油が開発した業務用油脂加工食品「アノザM」は、カカオ豆を使わずに本物のチョコレートに匹敵する口溶けと調理のしやすさを実現した。カカオ豆の価格が歴史的な高値で推移する中、新たな選択肢として存在感を高めている。

カカオショックと開発の背景

2023年、同社「チョコレート開発部」課長の石渡暁之氏は、食品業界を襲った「カカオショック」に危機感を強めた。主要生産地のガーナやコートジボワールで天候不良による不作が発生し、カカオ豆の価格は4~5倍に急騰。材料にチョコが欠かせない洋菓子店やパン店から悲鳴が上がっていた。

こうした製品の開発は10年ほど前から進めていたが、空前の高値となったカカオショックで開発が一気に加速した。目指したのは「驚きのおいしさ」で、カカオ豆の成分を使わない「代替チョコ」のイメージを一掃できる圧倒的な味を追求した。

穀物の組み合わせで味を再現

研究開発では、大豆やソラマメ、麦芽など約20種の穀物パウダーを試した。大豆を煎って粉にしたきな粉はなじみがあるが、味が際立ち「きな粉チョコ」になってしまい、1年以上かかってもチョコの味を再現できなかった。

発想の転換で行き詰まりを解消。チーム内から「2種類を組み合わせて足りない部分を補えばいい」との声が上がり、100パターン以上の組み合わせを試した結果、欧州原産の「キャロブ(イナゴマメ)」と「エンドウマメ」に到達。キャロブは酸っぱい香りやフルーティーな風味、エンドウマメはコクや香ばしさを再現する風味があり、エンドウマメは業界で全く注目されていない素材だった。

発売後の反響と今後の展開

2025年3月、カカオ豆由来の原料を使わず、ミルクチョコのような味わいの新製品として発売。営業担当の山田兼嗣氏は「チョコと言えないものをどう訴求すればいいのか」と悩んだが、発売後は食品メーカーからサンプル依頼が相次ぎ、小売り各社の評価も高かった。

2026年2月のバレンタイン商戦では、百貨店がカカオ豆不足の問題を前面に出してアノザMを紹介し「未来のチョコ」と話題に。チョコと表示できないことを逆手に取り「チョコか?」との商品名で売り出す企業も登場した。

石渡氏は「最大の懸念は高くてチョコが手軽に買えなくなることだ。チョコを常に楽しんでもらえるよう時代に合った商品を生み出していきたい」と話す。

不二製油は1950年設立。ヤシの実から搾油する技術を確立し成長した。植物性油脂のほか、マーガリンなどの乳化・発酵素材、大豆加工素材などを展開。主力の業務用チョコのシェアは世界3位、国内首位。2026年3月期の連結売上高は7722億円、連結従業員数は2026年3月末時点で5891人。本社は大阪府泉佐野市。