中外製薬が2月に発売したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬「エレビジス」は、薬価が約3億497万円と国内最高額となり、大きな注目を集めている。同社は6月17日の説明会で、すでに10人超への投与が進んでおり、治療は順調であると発表した。
エレビジスの概要と開発経緯
エレビジスは、米バイオ医薬品企業サレプタ・セラピューティクスが創製し、2019年にスイスのメガファーマ・ロシュと提携してグローバル共同開発を進めてきた。米国では2023年に承認を取得。ロシュ子会社である中外製薬が導入し、日本でも2025年5月に「条件及び期限付き承認」を得た。国内売上高は今年ピークを迎え、約120億円を見込む。
DMDの病状と治療の現状
DMDは全身の筋力が徐々に低下する遺伝性筋疾患で、国の指定難病の一つ。国内患者数は約3000~4000人と推定され、主に男性が発症する。症状は幼少期から進行し、2~4歳頃に走るのが苦手、転びやすいなどの兆候が現れ、10歳頃には歩行不能に。呼吸筋や心筋も低下し、治療がなければ多くは10代後半で死亡する。ステロイド対症療法や呼吸管理により余命は延び、平均寿命は約29歳だが、大学進学や在宅勤務が可能な患者も出てきている。
新薬開発の動向とエレビジスの位置づけ
近年、DMD領域では画期的な新薬開発が世界的に過熱。日本企業による開発品も複数あり、例えば日本新薬などが創製した「ビルテプソ」は2020年に日米で承認を得ている。
医療機関の赤字問題
エレビジスの投与には高度な副作用管理が必要で、投与する医療機関側は赤字となる課題がある。薬価が高額である一方、診療報酬が十分に設定されていないため、病院は投与ごとにコスト超過に陥る。中外製薬には、医療現場の負担軽減や適切な診療報酬改定に向けた働きかけが求められている。



