アサヒビールは、主力ブランド「アサヒスーパードライ」において、冷たさを核とした新たなブランド戦略を発表した。1987年の発売以来、「辛口」という価値を確立してきた同ブランドが、なぜ今、温度に着目するのか。その背景には、消費者調査で明らかになったビールに対する冷えの重要性がある。
9割の消費者がビールに冷えを重視
アサヒビールが実施した調査によると、自宅か外飲みかを問わず、約9割の消費者がビールを飲む際に冷えを重視しているという。ビールマーケティング部次長の木村宏之氏は、「ぬるいビールより、キンキンに冷えたビールの方がおいしいのは当然ですが、冷えは単なる温度ではなく、味を構成する極めて本質的な価値の一つです」と述べた。
冷えがスーパードライの辛口を引き立てる仕組み
冷えがスーパードライをおいしくする理由は二つある。第一に、温度が下がることで炭酸ガスが液中に溶け込みやすくなり、喉で感じる炭酸の刺激が強まり、飲みごたえが向上する。第二に、低温で苦味を感じにくくなり、後味のすっきり感が増し、キレの良さが際立つ。木村氏は「スーパードライの辛口を構成する飲みごたえとキレは、冷えによって一層引き立てられます」と説明した。
家庭での楽しみ方:冷凍庫で3分、色が変わるパッケージ
アサヒビールは、家庭でスーパードライを楽しむ際に、冷蔵庫で十分に冷やした後、飲む約3分前に冷凍庫に入れることを提案している。また、適温になるとロゴやアイコンの色が変わるパッケージを採用。景品として提供するタンブラー「キンキンタンブラー」も、冷やすと青いラインが現れる仕様だ。
スーパードライ ブランドマネージャーの堀謙太氏は、「ビールを楽しむ体験はプルタブを開ける前から始まっています。しっかり冷やし、色が変わるのを待つ時間も楽しんでいただきたい。その高揚感が飲んだ瞬間のおいしさをさらに引き立てます」と述べた。
飲食店向け「エクストラコールド」で若年層にアピール
アサヒビールは家庭向け施策に加え、飲食店向けの「スーパードライ エクストラコールド」も強化する。これはジョッキやグラスを冷やし、ビールを4℃未満で提供する専用ディスペンサーで、2010年の登場以来支持されている。堀氏は「今後は専用サーバーの管理やグラスの洗浄、注ぎ方まで徹底し、より高い品質で提供します」と語った。
さらに、氷点下で提供されるビールの見た目のインパクトは、SNSを通じて若い世代への訴求に効果的だという。堀氏は「若い世代は効率を重視する一方で、本物の体験には高い価値を感じています。キンキンに冷えたスーパードライがのどを駆け抜ける感覚は、デジタルでは再現できないリアルならではの体験です。その価値を伝えていきたい」と述べた。



