クレジットカード決済代行サービス大手の「全東信」(大阪市)が7月6日、大阪地方裁判所に自己破産を申請し、破産手続き開始の決定を受けた。帝国データバンクによると、負債総額は2025年3月末時点で1259億円に上り、今年最大規模の倒産となった。この事態を受け、全国約20万店の加盟店が混乱に陥っている。
売上金未入金で銀座がパニックに
全東信は2006年に設立。クレジットカード会社から支払われる売上代金を立て替えて早期に入金するビジネスモデルで手数料収入を得ていた。しかし、破産手続き開始決定により、決済代行や付帯サービスはすべて中止。加盟店に設置されたクレジット端末は使用不能となり、売上金が当面入金されない事態に陥った。
特に影響が大きいのは、飲食店や高級クラブ、スナックなどナイト市場の店舗が集積する東京・銀座だ。複数の店舗を展開する飲食店オーナーは「グループ合計で2000万円も飛んじゃった。今後、いったいいくら入金されるのやら。正直、かなりヤバい状況だ」と嘆く。銀座の店舗では、予約客に「今日はカードを使えませんので現金をお持ちください」と連絡する一方、加盟店同士で「お宅はいくら飛んだ?」と情報交換する姿が見られた。中には「金を払え!この野郎」と息巻くバーのオーナーもいたが、全東信への抗議の電話はつながらなかったという。
不正発覚と信用不安が引き金
帝国データバンクによると、全東信はコロナ禍による飲食業界の低迷で業績が悪化。2024年には、カード加盟店契約で審査が通らない飲食店の契約を他人名義で結んだとして、社員が警視庁に逮捕される事件が発生。その後、不正が会社ぐるみで行われていたことが発覚し、信用不安から資金繰りに支障が生じていた。
あるバーの経営者は「最近、やたらと全東信の社員が営業しに来ていたが、こういうことだったのかと思った」と不自然な営業攻勢の理由に納得した様子だ。
地銀へのドミノ損失リスク
全東信の破産は、地域金融機関にも影響を及ぼす可能性がある。全東信は取引先の地銀から融資を受けていたとみられ、特に東和銀行など複数の地銀が貸し倒れリスクに直面している。帝国データバンクは「地銀の損失がドミノ式に広がる可能性がある」と指摘する。全東信の負債総額1259億円のうち、金融機関向け債務がどの程度を占めるかは不明だが、地銀の業績を圧迫する要因となり得る。
全東信は1987年に創業し、1999年から全国展開を開始。2025年3月末時点で約20万店の加盟店を抱えていた。しかし、業績悪化と不正発覚が致命傷となり、経営破綻に至った。加盟店の間では、売上金の回収見通しが立たない中、今後の対応に追われている。



