経済報道で外国の権威を借りた高市批判は歪んだ報道だ
経済報道で外国の権威を借りた高市批判は歪んだ報道だ

9月1日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、ベセント米財務長官が日本について「リフレ政策はやめるべきだ」と発言した。日本の新聞・メディアは、これを材料に高市早苗政権の経済政策批判を10月に至るまで続けている。

メディアの批判的な報道姿勢

朝日新聞は「日本に『リフレ止めるべきだ』米財務長官、日銀総裁と会談 利上げ期待か」(9月3日付朝刊)、日本経済新聞は「『リフレ』日米摩擦の火種 日本売りの波及警戒 金利上昇抑制へ圧力」(同8日付朝刊)との記事で米国が日本を批判、干渉したと報じた。他メディアも同じような高市批判の姿勢だった。

しかし、ベセント長官は会見で前述の発言に加え「アベノミクスは成功した。その政策がもたらす結果を考えるべきだ」「今はタカイチノミクスの時代だ」などと続けた。全体を考えると、発言は日本への批判や干渉というより、評価と要請とみなすべきではないだろうか。

市場関係者の意見とメディアの矛盾

日本の新聞・メディアはこの問題で「市場関係者」の意見を集め、高市首相が日本経済への信頼を低下させ、円安、国債売り(金利上昇)の原因だと批判させていた。市場関係者とは金融市場で利益を得ようとする人たちで、当然自分に有利な情報を出す。金融市場は9月にこの発言を巡る報道を材料に乱高下し、10月になってようやく落ち着いた。

朝日新聞は「取材考記 米が利上げ圧力 インフレ対応の政策 今こそ」(10月7日付夕刊)で、金利の上昇基調に苦しむ米国側の事情を分析する記事を掲載したが、大量の高市批判記事の中ではかすんでいる。

経済報道のあり方

メディアはいつも日本政府の米国追随姿勢を批判するのに、今回は米国の威を借りて高市政権を批判した矛盾する行動をしている。経済報道で新聞・メディアが行うべきことは、政府当局者の行動や市場の動きの背景を客観的に深掘りした取材でつかみ、国民や関係者に伝えることであろう。批判ありきで同じ方向性の意見ばかり集めるのは、やはり歪んだ報道ではないか。

「外国」と「権威」の口を借りて、他人を批判することは明治以来の日本で常にあった光景だ。令和になっても、新聞・メディアが経済報道の分野で古臭い手法を繰り返したことは残念である。