財務省は30日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)を開き、高市早苗政権による財政運営方針について議論した。政権が定めた財政目標の達成には、高い成長率を持続することが前提になる。長期金利が30年ぶりの水準まで上昇するなか、財務省は想定通りにいかない「リスクの分析も必要」と指摘した。
「責任ある積極財政」の戦略と目標
「責任ある積極財政」を掲げる高市政権は、総額370兆円超の官民投資によって経済成長率を高める戦略を描く。国債を増発すれば財政悪化が懸念されるが、単年度の予算の収支にはこだわらず、国内総生産(GDP)と債務残高の比率の安定的な引き下げを財政運営の中核的な目標にすえる。
内閣府試算と過去の「有事」の影響
財務省は、高市政権の成長戦略によって高い成長率が続くケースでは、国と地方の債務残高対GDP比は2025年度の188.4%から、40年度に170.6%まで下がるという内閣府の試算を紹介。一方、これまでリーマン・ショック(08年)、東日本大震災(11年)、コロナ禍(21年)といった「有事」が一定の頻度で発生し、大規模な財政出動で債務残高対GDP比が悪化してきたと説明した。景気や長期金利といった政府がコントロールできない要因に左右されるため、「幅広い可能性を踏まえたリスクシナリオの分析が必要」と指摘した。
長期金利上昇による利払い費の増加
物価高や財政悪化への懸念などから、長期金利は9月に入り約30年ぶりの高水準である3%台に達し、財政運営のリスクは増している。超低金利の時代に発行した国債が今後、高い金利の国債に置き換わるため、政府の利払い費は膨らむ。26年度予算の利払い費は13.0兆円だが、想定金利が27年度以降1%上ぶれて推移した場合、35年度の利払い費は45.2兆円にのぼると財務省は試算する。