ドナルド・トランプ米大統領は、ビットコインやリップル社のXRPを含む複数の仮想通貨を戦略的準備資産として指定する大統領令に署名した。この命令は、政府が押収した仮想通貨を活用し、新たな「戦略的ビットコイン準備金」と「米国デジタル資産備蓄庫」を創設するものだ。ホワイトハウスの暗号資産責任者デビッド・サックス氏が3月7日、記者団に明らかにした。
準備金の構成と運用方針
戦略的ビットコイン準備金には、政府が刑事・民事没収手続きで取得した約20万ビットコイン(現在の時価で約170億ドル)が資本として組み入れられる。サックス氏は「政府はこれらのビットコインを売却しない」と明言し、長期的な価値保存手段として位置付ける意向を示した。一方、米国デジタル資産備蓄庫には、XRPやイーサリアムなど、同じく押収された他の仮想通貨が含まれる。ただし、これらは「責任ある管理」の下で運用され、状況に応じて売却される可能性がある。
トランプ政権は、追加のビットコイン購入を歳出中立の方法で行う方針だ。具体的には、財務省が一般調達を通じて資産を取得するのではなく、既存の資産の価値増加や、新たな税収を伴わない方法で調達するという。サックス氏は「納税者にコストを負わせることなく、ビットコインの戦略的価値を最大化する」と説明した。
背景と市場への影響
この大統領令は、トランプ氏が2024年の大統領選挙戦で掲げた「仮想通貨に対する敵対姿勢の転換」公約の一環だ。就任直後から仮想通貨業界への規制緩和を進めており、今回の準備金創設はその集大成と位置付けられる。サックス氏は「米国がデジタル資産分野で世界をリードすることを確約する」と強調した。
発表後、ビットコイン価格は一時9万ドルを超える上昇を見せたが、その後やや下落。XRPも10%以上の値上がりを記録した。市場関係者の間では、政府の大規模なビットコイン保有が価格操作につながる懸念もあるが、サックス氏は「売却しない」方針を繰り返し、市場安定化に配慮した。
法的枠組みと今後の課題
大統領令は、財務長官と商務長官に対し、準備金の管理と拡大方法を90日以内に報告するよう指示している。また、議会との協力を通じて、準備金の法的枠組みを明確化する方針だ。トランプ政権は、バイデン前政権下で進められた仮想通貨規制の強化を転換し、業界の自主規制を促す方向に舵を切っている。
一方、批判もある。環境活動家はビットコイン採掘のエネルギー消費を問題視し、一部の経済学者は準備金が財政リスクを高めると警告する。しかし、トランプ氏は「米国のエネルギー主権とデジタル経済の優位性を強化する」と反論している。



