太平洋クロマグロの漁獲規制を議論する国際会議が18日開かれ、日本側が求めた新たな資源管理方式で全参加国・地域が合意した。日本を含む太平洋の中西部側では30キロ以上の大型魚の漁獲枠が25%増える一方、将来的な資源確保につながる30キロ未満の小型魚は6%減る。手続きを経て2027~28年の2年間適用される見通しだ。大型魚の漁獲枠は拡大するため、消費者の手に届きやすくなる可能性がある。
異例の再交渉
長崎市で開いた7月の前回会議では、大型魚を増枠する日本案をベースに交渉は合意の目前だったが、メキシコが突如反対してまとまらず、約1カ月後にオンラインでの異例の再交渉となった。交渉筋によると、メキシコは日本を含む中西部側が想定を超えて漁獲することを警戒して態度を硬化。その後、日本政府の説得でメキシコが翻意し、日本や各国・地域が目指した内容で決着に至った。
新たな資源管理方式は、資源量に応じて漁獲枠が自動的に決まる仕組み。太平洋の中西部側の漁獲枠は大型魚が現行の1万1869トンから1万4836トンに増え、小型魚は現行の5125トンから4823トンに減る。1尾あたりの重量が大きい大型魚を緩和して全体の漁獲枠を拡大しつつ、小型魚には規制を強化して資源確保につなげる狙いがある。
今後の課題
大型、小型それぞれの漁獲枠の具体的な各国・地域別の配分比率は、今後議論する。日本は、韓国と台湾との間で配分比率を交渉予定。鈴木憲和農林水産相は「各地の漁業者が苦労されている中で資源状況を踏まえた漁獲枠の設定に向けて緊張感をもって交渉に臨む」と述べた。
クロマグロは「本マグロ」と呼ばれ、高級すしや刺身などとして人気が高い。太平洋では乱獲などで激減したが、厳しい規制が導入され、近年資源量が回復。日本国内の漁業関係者からは漁獲枠の早期拡大を求める声が強かった。クロマグロは中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)と、東部を担う全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)がそれぞれ漁獲枠を定める。新方式を27年から適用するには、両委員会それぞれの今年の年次会合で承認を得る必要がある。
西高東低の解消
クロマグロの漁獲枠を巡っては、日本や韓国など西側が80%を占める「西高東低」で、東側のメキシコは漁獲割合に不満を持っていたとみられる。東西間の漁獲割合について、西側の割合を29年と30年は79%、31年と32年は78%と徐々に引き下げる。国内ではクロマグロは豊漁で、アジやイワシ、ブリなどの沿岸魚を狙った定置網で大量に混獲される事態となっている。漁獲枠の上限に達した沿岸部地域では、かかったクロマグロを放流するしかなく、他の魚種の漁獲にも影響が出ている。より定置網にかかりやすい小型魚の規制が強化されるなかで今の〝豊漁〟が続けば、沿岸の漁業者は苦境に立たされる懸念がある。



