中国富裕層の投資先が変化、不動産が新たな主役に
中国人観光客による日本での「爆買い」は、かつての炊飯器や電化製品から、不動産へと大きくシフトしている。円安が進行する日本は、外国人投資家にとって「バーゲンセール」状態となっており、すでに在留する約90万人の中国人コミュニティがその流れを後押ししている。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は、この現象を分析する。
アジア諸国の不動産規制と日本の優位性
日本と比較して、韓国は2025年8月に外国人土地取引許可制を導入。ソウル首都圏では不動産取得に事前承認が必要で、取得後4カ月以内の入居と2年間の居住義務が課され、投資目的の購入は禁止され、違反者には罰則が科される。東南アジアでは、マレーシアが比較的規制が少なく、土地のフリーホールド(永久所有権)取得やコンドミニアム所有が可能。一方、タイは外国人による土地所有が禁止され、コンドミニアムは建物全体の49%までしか所有できない。ベトナムは土地が全人民の所有であり、外国人所有は認められず、国の承認したコンドミニアムに限り50年間の長期賃借権が与えられ、所有割合は70%まで。フィリピンも土地所有は禁止で、コンドミニアムは建物全体の40%が上限だ。
日本の不動産は“パラダイス”
このように諸外国では土地に対する規制が厳しい中、日本の不動産は「パラダイス」と評される。一度所有すれば完全な所有権を保持でき、運用や売買にも制限がない。私有地には役人でさえ自由に立ち入れない。この強固な私権は、空き家問題の際にも浮き彫りになった。倒壊寸前の家屋やゴミ屋敷でも、自治体職員が立ち入り調査できず、近隣住民の苦情に対応できないケースがあった。2015年の空家等対策特別措置法で初めて一定の調査立ち入りが可能になったが、私権の強さを示している。
政治・経済の安定と円安が追い風に
日本はアジアの中でも政治的に安定し、経済大国としての地位を維持。アジア諸国からの憧れの対象であり続けてきた。現在、アジアの中間層が急増し、富を蓄えた人々が日本の不動産を購入できる状況にある。円安がさらなる追い風となり、日本の不動産はバーゲンセール状態で、多くの投資家を引きつけている。



