2026年5月、東京都心3区(千代田区・中央区・港区)の中古マンション成約価格が前月比で20%下落したとのデータが注目を集めている。しかし、不動産コンサルタントの沖有人氏は、これを「バブル崩壊」や「投げ売り」と見るのは誤りだと指摘する。下落の背景には、統計上の歪みが存在するという。
平均値の落とし穴:サンプル属性の変化
沖氏によれば、成約単価は前月比13%減だが、成約価格は20%減と乖離が大きい。この差は、専有面積が平均で3.8㎡(57.5㎡→53.7㎡)縮小し、築年数も4.3年(20.6年→24.9年)古くなったことによる。月単位でこれほど属性が変わるのは珍しく、「単純平均では比較の意味がない」と沖氏は警鐘を鳴らす。
さらに、取引件数は全体で24%減少したが、価格帯別に見ると様相が異なる。1億円未満の取引は7%減にとどまったのに対し、1億円以上は37%減、2億円以上は50%減、3億円以上は61%減と、高額帯ほど取引が大幅に減少している。
タワマン取引が半減:高額帯減少の主因
沖氏は、高額帯の取引減少の主因をタワーマンション(20階以上)の動向に求める。2026年5月のタワマン取引件数は前月比47%減と半減した。取引された平均階数も23.2階から18.4階に低下し、平均総戸数も307戸から216戸に減少。つまり、タワマンの取引が急減し、それ以外の物件の取引が相対的に増えたことで、全体の平均価格が押し下げられたのだ。
「タワーと非タワーを単純平均しても、価格が下がったと言っているにすぎない」と沖氏は指摘。より正確な分析には、物件ごとの単価変化を追跡する必要があるという。
物件別分析で見えた実態:前年比では上昇も
沖氏は、2026年5月の物件別成約単価を2025年の同物件の単価と比較した。この手法では、物件グレードを同一にできるため、より正確な価格変動が把握できる。ただし、同一物件内でも階数や向きによる差は残るため、完全な補正は難しい。
結果として、都心3区のマンション価格は「暴落」ではなく、取引構成の変化による見かけ上の下落であることが示唆される。沖氏は「バブル崩壊を心配する必要はない」と結論づけている。



