都心3区(千代田区・中央区・港区)の中古マンション成約平均坪単価が前月比で13%下落した。一見すると「マンションバブルの崩壊」を思わせる下げ幅で、グラフを描くと、今後も急降下しかねないほどの衝撃的な見え方になる。この情報源がレインズという不動産業者間のデータベースからの集計であることから、「大暴落がいよいよ始まった」と受け止められかねない。ただし、市場は単純平均ではうまく説明できず、正確に実態を把握する必要がある。
都心3区は本当に大暴落しているのか?
例えば、コロナによる緊急事態宣言が初めて出た2020年4・5月に中古マンション平均成約単価は下がった。しかし、ローデータを見ると、投資用ワンルームマンションの投げ売りが一時的に急増しただけで、単価が高い自宅用の分譲マンションの取引は減少していた。こうなると、確かに平均成約単価は下がるが、自宅マンションの価格は下がっていなかった。6月以降は、コロナ禍で在宅勤務が広がり「もう1部屋需要」が顕在化し、それまで以上の価格上昇が起きている。「こうなるはずだ」といった予断ではなく、実データを確認しなければならない。
タワマンの取引件数が半減した意味
都区部の中古マンションの平均成約坪単価が400万円の大台に乗ったのは2025年5月のことであり、ちょうど1年前となる。その後も単価は上がり続け、2026年3月に坪439万円まで高騰した。翌4月は436万円、5月は423万円で、前月比3%減である。
中でも都心3区の数字が目立って悪化している。取れる限りの中古成約事例で計算すると、2026年4月の成約平均坪単価は739万円、翌5月は643万円で13%減、成約平均中古価格はさらに下げ幅が大きく、1億4616万円から1億1698万円に20%下がっている。数字だけだと大暴落に見えるため、メディアなどが取り上げやすいネタだろう。
新築物件を買い占めていた「転売ヤー」
不動産コンサルタントの沖有人氏は、この価格下落の背景に「転売ヤー」の存在を指摘する。新築マンションを買い占め、短期間で転売する投資家が、価格高騰の一因となっていた。しかし、2026年に入り、金融引き締めや需要の一服で転売が難しくなり、投げ売りが増加。これが平均価格を押し下げているという。
都心3区のマンション価格は今後どうなるのか
沖氏は「今回の下落はバブル崩壊ではなく、転売ヤーの整理による一時的な調整局面」と分析する。実際、自宅需要は依然として堅調で、高額物件の取引は減少したものの、価格自体は大きく下がっていない。今後の見通しとしては、金融政策や経済動向に左右されるが、需給バランスが改善すれば再び上昇に転じる可能性もある。



