都心3区マンション「大暴落」の真相:バブル崩壊ではなく売り手心理が鍵
都心3区マンション大暴落の真相は売り手心理

都心3区(千代田区、中央区、港区)のマンション価格が「大暴落」しているとの報道が広がっているが、不動産コンサルタントの沖有人氏はこれを「バブル崩壊」や「投げ売り」と断じるのは早計だと指摘する。同氏は30年にわたる市場観察に基づき、価格下落の背景には売り手の心理や住宅ローン制約が深く関わっていると分析する。

成約単価下落の実態:物件単位ではまだ上昇中

確かに都心3区のマンション成約単価は大幅に下落している。しかし沖氏によれば、これはあくまで平均値の話であり、個別物件レベルではまだ価格が上昇しているケースが多い。売り手が「下げてまで売りたくない」と考えれば、単価の下げ幅は小さく抑えられ、代わりに取引件数だけが急減する可能性が高い。

この現象は過去にも例がある。2011年の東日本大震災後、湾岸エリアでは液状化被害が発生し、新浦安では資産価値が大きく下落した。しかし東京や横浜の他の地域では、価格はほとんど下がらず、取引件数が以前の約3分の1に減少した。沖氏は「直近で購入した人は住宅ローンが残っているため、損失を承知で売ることは難しい。また相場感のある売り手は、住み替えが決まっていない限り売却時期を延期する」と説明する。

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なぜ今、価格が下がりにくいのか

現在の都心3区市場では、高額物件の買い手が減少し取引が成立しにくくなっている。これは転売目的の投資家(転売ヤー)が市場から撤退した結果だ。沖氏は「物件単位ではまだ値上がりしており、高額帯は買い手が引いたことで取引が停滞している。この状況は転売ヤー不在の市場では今後も続くだろう」と予測する。

2011年当時は2008年をピークに価格が下落基調にあり、売却してもローンが返せない「売るに売れない」人が多かった。一方、現在の所有者は購入時の価格が相対的に低いケースが多く、単価を下げて売っても損失が出る可能性は低い。沖氏は「買った元値まで下げる余地はあるが、売り急ぐ必要性がある人は限定的だ」と指摘する。

今後のシナリオ:2つの可能性

沖氏は都心3区の今後の取引動向について、2つのシナリオを提示する。第一のシナリオは、成約単価がほぼ下がらず(例えば1割未満の下落)、取引件数が大幅に減少する(例えば7割減)ケース。第二のシナリオは、成約単価が緩やかに下落し(例えば2割超)、取引件数も減少する(例えば4割減)ケースだ。

どちらのシナリオが現実化するかは、住み替え層の切迫感に左右される。特に引っ越し時期や住宅ローン審査の厳格化が重要な要素となる。沖氏は「下落局面はレアケースなので、慌てずにきちんと現実を見届けてから動くことをおすすめしたい」と締めくくっている。

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