有機農業の担い手育成へ、福井県内で官民一体の取り組み加速
有機農業担い手育成へ、福井県内で官民一体の取り組み

化学肥料や農薬などを使わず、環境への負荷を減らす有機農業の取り組みが、福井県内で広がっている。2050年までに有機農業の面積を25%にするという国の計画を受け、越前市が2024年にオーガニックビレッジとなり、他の市町でも生産コストの削減や需要の確保などの課題に対応しようと、官民が一体となって動き出している。

ファーム広瀬の取り組み

越前市内で約120ヘクタールの農地で有機農業に取り組む「ファーム広瀬」(越前市広瀬町)は、農事組合法人として2012年に発足。コメ離れによる米価の下落に危機感を抱き、2017年に有機農業に転換した。国の補助制度も活用するなどし、有機農業専用の除草機や、雑草の生育を抑制するスマート農機「アイガモロボット」を導入し、省力化をはかる。農薬と化学肥料を使わずに生産したコメや麦、大豆などの9割が「有機JAS認証」を受ける。今では、有機農業に関心のある県内外の自治体や生産者らの視察を年間数十件受け入れ、普及に尽くす。

一方、有機農業は栽培に手間がかかるため、米の場合、生産コストは慣行農業に比べ15%ほど高い。同社相談役の庭本久則さん(74)は当初、高価な米の需要を見通せず不安を持っていたが、まとまった量の有機米を供給できる大規模農家が少なかったことから、市内や首都圏を中心に注文が殺到したという。

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国の目標と県計画

農林水産省は2021年、「みどりの食料システム戦略」を策定し、2050年までに有機農業の作付面積を全体の25%にするとした。同省によると、近年は徐々に増えており、2024年度時点で約0.9%となっている。県も2023年に「県みどり基本計画」を策定。2030年までに有機農業の面積を2020年比32%増の2200ヘクタールとする目標を掲げた。

小浜市のオーガニックビレッジ宣言

小浜市は2026年度中にオーガニックビレッジを宣言する意向だ。有機農産物の需要確保に向けて今春、有機米を生産する農家を募集。市は年間約10トンの有機米を買い取り、市内の給食で使う実証事業を今秋にも始める。2035年までに市内で15ヘクタールに拡大する計画だ。

池田町はJASとほぼ同様の制度を独自に設ける。また、若狭町では、新規就農者の有機農業への関心が高いという。

通常の米の価格が高騰すると、生産者の有機米離れを促す可能性がある。小浜市農林水産課は「現状ではまだまだ有機農業のマーケットが広がっていない。『(有機農産物を)作れば売れる』状況にするため、まずは公共調達で需要を増やして面積の拡大につなげていきたい」と話す。

担い手育成講座

県は20日、担い手育成や有機農業の取り組みの拡大を目指す「ふくいオーガニック・グリーンアカデミー」を開講した。約20人の生産者が受講し、2027年7月までの全6回の研修で、有機農業のノウハウを実技や座学を通して学ぶ。県流通販売課は「県内で有機農業へ転換する農家を増やしたい」としている。

小浜市も8月下旬、有機家庭菜園講座を開講する。7月15日に行われたお試し講座には、家庭菜園に取り組んでいる人ら約20人が参加した。市農林水産課は、将来的には受講生が地域で学校給食用の農作物を栽培する新たな担い手となることを期待する。

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オーガニックビレッジとは

オーガニックビレッジは、有機農業の拡大に向け、生産から消費までの取り組みを地域ぐるみで進める自治体。国が後押ししており、昨年末時点で154市区町村が実施している。有機農業の推進に取り組むことを宣言し、オーガニックビレッジになると、農機具の購入や講習会の開催などにかかる経費の補助が受けられる。