奈良県が上告断念もメガソーラー工事続行、土砂流出4回目で危険な状態
奈良県が上告断念もメガソーラー工事続行、土砂流出4回目

奈良県平群町で進むメガソーラー建設現場において、2025年6月の台風による大雨で4回目の土砂流出が発生した。奈良県は大阪高裁判決を「説得力がある」として上告を断念したものの、工事は依然として続行されており、原告住民や専門家は危険な状態が続いていると警鐘を鳴らす。

奈良県が上告断念、その理由とは

山下知事は記者会見で、上告しない理由を2点挙げた。第一に、大阪高裁判決には説得力があること。第二に、参加人が上告した後は被参加人が上告することは不適法とする最高裁判例があり、県は法律上上告できないこと。特に第一の点について、県は独自に調査した結果、県の審査基準の内容や運用に不合理な点があるとした高裁判決の判断を「説得力がある」と認めた。

山下知事によると、県が林地開発許可の審査で使用した降雨強度式は、大正5年から昭和55年(1916~1980年)のデータに基づいて算出されており、見直しを検討したものの結局実施されなかった。大阪高裁判決は、雨が10時間続いた場合の総雨量147mmに対応する調整池を計画すれば十分とした県の判断を批判した。判決は、建設現場から約3km離れた生駒山観測所の記録に着目し、49年間に日降水量(24時間総雨量)が147mmを超えたケースが5回あったことを指摘した。

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山下知事が配布した資料によると、県が独自に雨量データを調査した結果、日をまたいで24時間に降った降水量が147mmを超えたケースは過去10回確認されたという。

原告住民と専門家が危険性を訴え

知事会見に続き、原告住民の弁護団と土砂災害の専門家が奈良地方裁判所近くで記者会見を開いた。奈良地裁判決では敗訴したものの、大阪高裁で逆転勝訴した原告住民らは、判決から6日後に林地開発許可の効力を停止する「執行停止」を大阪高裁に申し立てている。

その申し立てから2日後、台風8号と7号が相次いで日本列島に接近した。台風の大雨が降った6月26日、生駒山観測所の日降水量は162mmを記録。建設現場から約1.6km離れた奈良県の若葉台観測所では、6月27日午前1時までの24時間に199mmの雨が観測された。高裁判決が指摘した近年の大雨の増加が、現実のものとして証明された格好だ。26日から27日にかけて、メガソーラー建設現場では斜面からの土砂流出や調整池の漏水が発生した。

弁護団は「建設造成地は危険な状態。工事停止や県の指導が必要」と訴えている。

事業者の説明と専門家の見解の相違

土砂流出をめぐっては、事業者の説明と専門家の見解に隔たりがある。事業者は今回の流出は軽微であり、設計上の問題はないと主張しているが、専門家は調整池の容量不足や斜面の安定性に問題があると指摘する。今回の台風による大雨で、高裁判決が問題視した調整池の能力を超える降雨が実際に発生したことから、さらなる災害リスクが懸念されている。

奈良県は上告断念の判断を下したが、工事停止命令を出していないため、現場では作業が続けられている。原告住民らは、執行停止の決定が下される前にさらなる被害が発生することを恐れ、早期の対応を求めている。

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