近鉄グループホールディングス(GHD)の若井敬社長は読売新聞のインタビューで、大阪上本町駅(大阪市天王寺区)周辺で計画する再開発事業について、近鉄百貨店上本町店が入る商業施設から段階的に進める方針を明らかにした。2028年度までに構想の具体化を目指す。
再開発の背景と現状
同駅は奈良や伊勢志摩などの観光地に向かう列車が発着し、大阪メトロの地下鉄駅とも直結する。近鉄は2019年に駅周辺を含む再開発方針を打ち出したが、コロナ禍や建設費の高騰などのあおりで具体化できていない。5月に修正された2028年度までの中期経営計画では、開発規模の検証や外部資金の活用など「再開発推進に向けたあらゆる手法を模索」としていた。
百貨店を核にホテルや病院も誘致
若井氏は「主に日常使いでき、少し高級感もある百貨店があればいい」と述べ、近鉄百貨店上本町店が入る商業施設から再開発を進め、高級ホテルや病院、大学を誘致する可能性にも言及した。事業規模は「採算がとれるよう見定めていく」と述べるにとどめた。「外部が入れるプロジェクトにしないといけない」とし、他社と共同で開発を行い、外部から資金調達をする意向を示した。
中期経営計画には、同駅周辺に新たなエンターテインメント体験施設を設ける方針も盛り込んだ。
駅の利便性と株主対応
若井氏は同駅を「伊勢、夢洲(ゆめしま)方面への交通の結節点として機能し、利便性も劣っていない」と評価。「エンタメのような楽しいものを付け加えていきたい」と語り、難波や鶴橋など、近隣の主要駅と連動した利便性の向上に努める考えを強調した。
また、近鉄GHDを巡っては、村上ファンドを率いた村上世彰氏の長女で、アクティビスト(物言う株主)の野村絢氏が今年3月末までに株式の2.7%を取得したことで、株主対応が注目されている。若井氏は株主対応は重視するとしつつ、「鉄道会社の設備投資は30年、40年といった長期でないと回収できない」と理解を求めた。一方、「公共インフラとしての使命は負っているが、聖域なく資産や事業の『選択と集中』をし、資本効率を上げる」と語った。



