中国人観光客の「爆買い」の主戦場が、家電や化粧品から不動産へと大きくシフトしている。円安の進行により日本が「バーゲンセール」状態と化し、日本に在留する約90万人の中国人が情報を共有し、不動産投資を後押ししている。
爆買いの変遷:家電から菓子、そして不動産へ
2023年1月から3月における中国人訪日客の購買品ベスト5から、電気製品がランク外に姿を消した。化粧品や香水もコロナ前の1位から3位に後退している。電気製品については、中国製の性能が向上し日本製品を凌駕するようになったため、日本でわざわざ買う理由がなくなった。化粧品や香水も、中国・海南島などのデューティーフリーショップで容易に入手可能となった。
代わって中国人観光客が好んで購入するのは、菓子類や食品、特に日本酒や日本製ウイスキーなど、日本独自の商品だ。旅行先も北海道や軽井沢、沖縄などのリゾート地や地方都市、温泉地に広がり、日本全国どこでも中国人の姿が見られるようになった。複数回訪日する中国人が増え、モノ消費から日本の自然や文化、芸術を体験するコト消費へと軸足が移っている。
中国経済の失速が不動産投資を加速
中国経済の失速に伴い、富裕層を中心に日本の不動産に注目する動きが近年急増している。中国では不動産ブームが終焉を迎え、不動産不況が押し寄せている。何度も訪日している中国人にとって、日本の不動産は魅力的な投資先となっている。
さらに、日本には約90万人の中国人が在留しており、スマートフォンなどの通信技術の向上により、日本の不動産情報は瞬時に中国国内で共有される。このネットワークが、不動産投資の拡大を後押ししている。
不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は「日本の不動産は世界に開かれたフリーマーケットのような状態だ」と指摘する。円安により日本の不動産が割安に映り、中国人投資家の資金が流入している。
観光から投資へ:新たなフェーズ
中国人観光客の爆買いは、家電や化粧品から菓子・酒類、そして不動産へと移行し、観光消費から投資へと変化している。この流れは、日本経済に新たな影響を与える可能性がある。一方で、不動産価格の高騰や地域住民との摩擦など、課題も顕在化しつつある。



