国際環境経済研究所理事の竹内純子氏(東北大学特任教授)は、ホルムズ海峡封鎖によるエネルギー供給不安の長期化を指摘し、再生可能エネルギーだけでは不十分として、原発再稼働の必要性を強調している。
ホルムズ海峡封鎖の影響とエネルギー安全保障
アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃以降、中東情勢は緊迫している。和平合意の覚書は発効見込みだが、覆る可能性も残る。世界の海上原油貿易の3割、LNG貿易の2割が通過するホルムズ海峡の実質的封鎖は「歴史上最大のエネルギー安全保障の脅威」とされ、長期化が見込まれる。
エネルギー自給率向上は日本の主要命題だが、今回の封鎖で緊急性が飛躍的に高まった。供給側の混乱に加え、需要側では生成AIの普及やデジタル化で電力消費量が増加に転じており、供給力強化が喫緊の課題となっている。
原発1基で約2000億円超のコスト節減
100万kW級の原子力発電所1基を年間85%程度の設備利用率で運転すると、約75億kWhを発電できる。これをLNG火力で得るには年間約100万トンのLNGが必要。日本が電力用に消費するLNG約3700万トンのうち、ホルムズ海峡依存度は2%程度であり、100万kW級原発1基で封鎖の影響を回避できるという。
本年5月に営業運転を再開した柏崎刈羽原子力発電所6号機は135万kWとさらに規模が大きい。LNGを100万トン削減する経済効果は、LNG価格が平時(15ドル/MMBtu程度)で年間約1000億円、緊張局面(20~25ドル/MMBtu程度)で約1500億~1800億円、高騰時(30ドル/MMBtu程度)で約2000億円超の燃料コスト節減となる。
北東アジア地域のLNG価格(JKM)は執筆時点で18ドル/MMBtu強だが、2月末のイラン戦争勃発直後は25ドル程度まで上昇している。
安全規制と事業性のバランス、廃炉撤回も議論すべき
竹内氏は、安全規制と事業性のバランスや廃炉の撤回も議論すべきとし、「西側諸国は脱原発」という認識は誇張だと指摘。洋上風力の適地は英国の8分の1しかなく、再エネは万能の解ではないと結論づけている。



