軽くて薄く曲げられる次世代太陽電池、積水化学が開発進める
軽くて薄く曲げられる次世代太陽電池、積水化学が開発

軽くて薄く、曲げられる「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」の開発が進んでいる。積水化学工業(東京都)は、この太陽電池を建物の壁面や曲面など、これまで設置が難しかった場所にも設置できるようにし、活用の可能性を広げようとしている。

日本発の技術、発電効率は向上

ペロブスカイト太陽電池は日本発の技術で、初めて製作されたのは2009年。当時の発電効率は3~4%だったが、現在は研究室レベルで26.7%まで向上している。積水化学工業では2012年頃から本格的に開発に取り組んできた。

同社で広報担当部長を務める木之下浩介さんは「開発者からは、課題を一つずつ解決し、実際の製品が社会に出ていく瞬間に大きな達成感を感じるという話も聞きました」と話す。

軽さと薄さを実現、設置場所の可能性広がる

太陽光発電の普及には、設置に適した土地の確保や、傾斜地への設置による土砂災害や景観、森林への影響などの課題がある。そこで同社は「置く場所を増やす」のではなく、「これまで置けなかった場所にも設置する」ことに可能性を見いだした。

実際にフィルム型の太陽電池は、重さが1平方メートルあたり約1キログラム、厚さが約1ミリで、シリコン型に比べて重さは約10分の1、厚さは約20分の1。畳ほどの大きさでも簡単に持ち上げることができ、曲げやすいため、ビルの壁面や曲面、体育館の屋根など様々な場所への設置が想定されている。

実用化進む、課題も残る

実用化もすでに始まっており、大阪・関西万博の会場では夜間照明の電源として活用された。ほかにもビルの外壁、港湾施設、新幹線沿線の防音壁などで実証実験が進められている。小学校の体育館の屋根など学校への導入にも力を入れており、「一番早くペロブスカイトが身近になるのは学生かもしれない」と木之下さんは話す。

一方で課題も残る。シリコン型は20~30年の耐久性があるのに対し、フィルム型は10年程度。環境に有害な鉛を含むことへの対応や、使用後の回収・リサイクル、設置に関する法整備、部材コストの削減なども課題だ。耐久性は今後、20年を目標に研究を進めている。

「目標は“電気の地産地消”。遠くから電気を運ぶのではなく、街の中にある建物などで発電し、その場で使う社会です」と木之下さんは強調する。