老朽原発の運転延長に新基準、安全対策コストが課題に
老朽原発の運転延長に新基準、安全対策コストが課題

原子力規制委員会は、老朽化した原子力発電所の運転期間延長に関する新たな審査基準を正式に決定した。これにより、運転開始から30年を超える原発は、40年目以降の運転継続に際して、より厳格な安全対策の実施が義務付けられることとなる。特に60年を超えて運転する場合には、原子炉容器の脆化評価や地震・津波に対する追加対策が求められ、事業者にとっては巨額の投資が必要となる見通しだ。

新基準の概要と背景

新基準では、運転期間が30年を超える原発を「高経年化プラント」と位置づけ、40年目以降の運転延長には、従来の定期安全レビューに加えて、経年劣化に関する特別な評価が必須となる。また、60年超の運転を目指す場合には、原子炉圧力容器の破壊靭性試験や、配管の肉厚測定など、より詳細な検査の実施が条件とされた。この背景には、東京電力福島第一原発事故以降、安全性への社会的関心が高まり、老朽原発に対する規制強化の必要性が指摘されてきたことがある。

規制委員会の担当者は「新基準は国際的な安全基準を参考に、日本の原発の特性を考慮して策定した。事業者には、安全性の確保を最優先に、必要な投資を行うよう求める」と説明している。

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事業者への影響とコスト負担

新基準の導入により、国内の老朽原発を抱える電力会社は、追加の安全対策コストの捻出に迫られる。例えば、関西電力の美浜原発3号機や、日本原子力発電の敦賀原発2号機など、運転開始から40年近く経過したプラントでは、耐震補強やフィルターベントの設置など、すでに数千億円規模の投資が行われているが、新基準によるさらなる負担増は避けられない。

業界関係者からは「安全対策は当然だが、コストが電力料金に転嫁される可能性があり、国民の理解を得るのは容易ではない」との声も聞かれる。一方、経済産業省は、原子力の活用を推進する立場から、事業者の負担軽減策を検討する方針を示している。

今後のスケジュールと課題

新基準は2025年4月から順次適用される予定で、既存の原発については、2027年までに初回の評価を終えることが求められる。規制委員会は、評価結果に基づき運転延長の可否を判断するが、基準を満たさない場合は運転停止命令もあり得るとしている。

専門家からは「新基準の実効性を高めるためには、規制当局の審査能力の向上と、事業者の透明性確保が不可欠」との指摘がある。また、廃炉が決まった原発との費用対効果の比較や、再生可能エネルギーの導入拡大との関係性も、今後の議論の焦点となりそうだ。

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