水素燃料電池の新技術、触媒コストを90%削減、実用化へ前進
水素燃料電池触媒コスト90%削減、実用化へ前進

東京大学大学院工学系研究科の研究チームは、水素燃料電池の核心部品である触媒のコストを大幅に削減する新技術を開発したと発表した。従来の白金触媒に代わり、コバルトと窒素を炭素材料にドープした「Co-N-C」触媒を採用することで、触媒コストを約90%削減することに成功した。この研究成果は、2027年の実用化を目指す水素社会の実現に向けた大きな前進として注目されている。

白金代替触媒の開発背景

水素燃料電池は、水素と酸素の化学反応により発電するクリーンなエネルギー源として期待されているが、電極触媒に高価な白金を使用する点が普及の障壁となっていた。燃料電池自動車(FCV)1台あたり約30グラムの白金が必要とされ、材料費だけで数十万円に上る。東京大学の研究チームは、白金の代替材料として遷移金属と窒素を炭素にドープした触媒に着目。これまで多くの研究が行われてきたが、実用レベルの性能を達成するには至っていなかった。

新触媒の性能とコスト効果

研究チームが開発したCo-N-C触媒は、酸素還元反応(ORR)において従来の白金触媒と同等以上の活性を示し、耐久性も実用レベルを達成した。触媒コストは白金触媒の約10分の1となり、燃料電池システム全体のコストも大幅に低減できる見込み。研究を主導した東京大学の山田教授は「この技術により、燃料電池車の価格を現在の半分以下に抑えられる可能性がある」と述べている。

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実用化への道筋

研究チームは、2027年までにこの触媒を搭載した燃料電池スタックの試作品を完成させ、自動車メーカーやエネルギー関連企業と連携して実証実験を開始する計画。すでに複数の企業から問い合わせがあり、量産化に向けた技術移転の準備も進めている。また、この触媒技術は燃料電池だけでなく、水電解装置や金属空気電池など他のエネルギー機器にも応用可能で、幅広い分野でのコスト削減効果が期待される。

専門家の評価

京都大学のエネルギー化学専門家である鈴木教授は「白金代替触媒の研究は世界中で競争が激しいが、この成果はコストと性能のバランスで優れており、実用化に最も近い技術の一つだ」と評価。一方で、長期的な耐久性や大量生産時の品質安定性などの課題も指摘し、「今後の実証試験でこれらの点をクリアできるかが鍵」と述べている。

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