岸田文雄首相は、GX(グリーントランスフォーメーション)を加速させるため、2025年の通常国会に新たな法律案を提出する方針を固めた。この新法には、成長志向型のカーボンプライシングや、脱炭素投資を促進するための制度設計が盛り込まれる見通しだ。
GX推進法の背景と狙い
政府は2050年までにカーボンニュートラルを実現する目標を掲げており、その実現に向けてGX関連投資を官民合わせて今後10年間で150兆円規模に拡大する計画だ。今回の新法は、この目標達成のための法的枠組みを整備するもので、企業の脱炭素投資を後押しする狙いがある。
岸田首相は、GX実行会議で「成長と環境の好循環を実現するため、新たな法制度を早期に整備する」と述べ、意欲を示した。具体的には、排出量取引制度の本格導入や、炭素税の段階的引き上げなどが検討されている。
カーボンプライシングの具体策
新法の柱となるのが、成長志向型カーボンプライシングだ。これは、企業の排出量に応じて負担を求める一方で、脱炭素技術への投資を促進するインセンティブを組み合わせた仕組み。政府は、2026年度からの排出量取引制度の本格稼働を目指しており、新法でその法的根拠を明確にする。
また、炭素税については、2028年度からの導入を視野に、税率や対象範囲を詰める。経済産業省の試算によると、炭素税の導入により、2030年度までに年間約2兆円の税収が見込まれる。
産業界の反応と今後の課題
産業界からは、新法の内容次第で国際競争力に影響が出るとして、慎重な対応を求める声が上がっている。日本経済団体連合会(経団連)の十倉雅和会長は「過度な負担は避け、企業の自主的な取り組みを引き出す制度設計が重要だ」と指摘した。
一方、環境NGOなどからは、目標達成に向けてより野心的な内容を求める意見も出ている。WWFジャパンは「日本の排出削減目標は国際的に見て不十分であり、法的拘束力のある目標設定が必要だ」と主張している。
政府のスケジュール
政府は、2024年末までに新法案の骨子をまとめ、2025年1月からの通常国会に提出する予定。与党内では、税制改正との関連もあり、慎重な調整が続いている。岸田首相は、GX推進を政権の最重要課題の一つに位置づけており、早期成立を目指す方針だ。



