中国の電気自動車(EV)市場が世界的に躍進する一方で、国内経済の根幹を蝕む「ゾンビ企業」の問題が深刻化している。ダラス連邦準備銀行のエコノミストらによる報告によれば、ゾンビ企業が保有する製造業資産の割合は2020年の4%から2024年には11%へと急上昇。サービス業では17%に達しており、経済全体の生産性を著しく低下させている。
過剰生産能力と資源の非効率配分
中国の自動車セクターを例にとると、BYDや吉利、奇瑞など世界市場で競争力を持つ企業が数十社存在する一方で、約230社もの不振企業がひしめいている。そのうち100社近くは年間販売台数が1万台未満だ。その結果、中国の自動車生産能力は国内需要と輸出を合わせた量の2倍に達し、過剰供給が価格競争を激化させている。こうした状況は自動車業界に限らず、多くの産業で見られる。
ゾンビ企業は、本来より生産性の高い企業に投入されるべき労働、資本、金融、不動産といった資源を吸い上げ、経済全体の成長を阻害している。実質的にGDPをほとんど生み出さない工場に多額の投資が浪費され、過剰生産能力が常態化している。
新興企業の参入鈍化と生産性低下
経済の健全な発展には、古く生産性の低い企業に代わる革新的な新興企業の参入が不可欠だ。2007年から2008年にかけての期間、中国の製造業における生産性成長の3分の2は新企業の参入によるものだった。しかし、新企業の参入とその工場雇用に占める割合は2007年頃にピークを迎え、その後2013年にかけて急減した。
デジタル集約型セクターでは、新興企業の雇用シェアが2007年の25%から2013年には15%に低下。その他の製造業では20%から10%に半減した。その後もこの割合はさらに低下しているとみられる。新企業の参入が鈍化するにつれて、生産性の伸びも鈍化しており、両者の相関は明らかだ。
ゾンビ企業の拡大がもたらす長期低迷リスク
ゾンビ企業の増加は、中国経済が「二重経済」構造に陥っていることを示唆する。一方でEVやハイテク分野の先進企業が世界をリードする一方、他方では大量のゾンビ企業が資源を浪費し、経済のダイナミズムを奪っている。このまやかしの二重経済は、長期にわたる低迷を招く可能性が高い。
リチャード・カッツ特約記者(在ニューヨーク)は、東洋経済の記事で「中国は過剰な投資に執着している」と指摘。ゾンビ企業に人工呼吸器を装着し続けることで、資源の有効活用を妨げ、結果的に成長を押し下げていると警鐘を鳴らしている。



