相次ぐ噴火で生態系が失われた小笠原諸島・西之島(東京都)で、噴火後初めてコケとシダの植生が確認されたと、東京都立大などの研究チームが発表した。周辺に陸地がほとんどない孤立した環境で、生態系が形成される初期の過程を観察できた貴重な成果だとしている。論文が国際科学誌に掲載された。
発見された植物
西之島は、東京都心から南に約1000キロ・メートル、最も近い同諸島・父島からも西に約130キロ・メートル離れた無人島。2013~20年に大規模な噴火を繰り返し、溶岩や火山灰で面積が大きく拡大した一方、既存の植生が全て消失した。
チームは昨年7月、環境省の調査で西之島に上陸。火山灰が堆積した沿岸域で、コケの一種であるユミダイゴケと、イワヒメワラビ属とタマシダ属のシダ2種を発見した。いずれも世界的に広くみられる植物だが、噴火前には生育していなかった。胞子が風に乗ったり、海鳥に付着したりして飛来したとみられる。
今後の研究
同大の高山浩司教授(植物分類学)は「水や栄養が得にくく成長するには厳しい環境だ。繁殖できずに、他の種に代わる可能性もある」と語る。研究チームは、西之島で生態系が激しく変遷する初期過程の観察などを行っていくという。
千葉聡・東北大名誉教授(生態学)の話「新しくできた島でいかに植物相が形成されるのか、解明が期待される。100年単位で観察するためにも、人間が動植物を持ち込まない処置を徹底する必要がある」



