フィンランドの東フィンランド大学などの研究チームが2016年に発表した論文「Sauna bathing is inversely associated with dementia and Alzheimer's disease in middle-aged Finnish men」は、約20年間にわたる調査により、サウナに頻繁に入る習慣が認知症やアルツハイマー病の予防につながる可能性を示した研究報告である。
サウナ利用頻度と認知症リスクの関連
この研究は、ベースライン時(1984~89年)に42歳から60歳だった健康なフィンランド人男性2315人を対象に行われた。彼らのサウナ利用頻度を調査し、中央値で20.7年間の追跡調査を実施したところ、期間中に204人が認知症、123人がアルツハイマー病と診断された。
分析にあたっては、年齢、飲酒量、BMI、収縮期血圧、喫煙状況、2型糖尿病、心筋梗塞の既往歴、安静時心拍数、血中LDLコレステロールといった結果に影響を与えうる要因を調整した。その結果、サウナの利用頻度が高いほど発症リスクが低下するという関連が示された。
具体的なリスク低減効果
具体的には、週に1回のみサウナを利用するグループを基準とした場合、週に2~3回利用するグループでは認知症の発症リスクが22%(ハザード比0.78)、アルツハイマー病の発症リスクが20%(ハザード比0.80)低下する傾向が見られた。
さらに、週に4~7回とほぼ毎日利用するグループでは、認知症のリスクが66%(ハザード比0.34)、アルツハイマー病のリスクが65%(ハザード比0.35)も減少するという効果が示された。
研究の意義と今後の展望
この研究は、サウナ浴が認知機能低下の予防に役立つ可能性を初めて大規模に示したものとして注目される。研究チームは、サウナの高温環境が血管機能を改善し、炎症を抑えることで神経保護効果をもたらす可能性があると考察している。
ただし、この研究は観察研究であり、因果関係を証明するものではない。また、対象がフィンランド人男性に限られているため、他の集団への一般化にはさらなる研究が必要である。



