7月23日、東京都文京区の東京大本郷キャンパスにある伊藤謝恩ホールで、リチウムイオン電池の開発に貢献した旭化成名誉フェローの吉野彰さん(78)が、夏休み中の中高生らを対象にした講演を行った。講演は「未来をつくる科学者たち」と題し、同大エネルギー総合学連携研究機構が主催。会場には約300人が集まった。
リチウムイオン電池は充電して繰り返し使える二次電池で、小型で軽量な上、大容量なのが特徴。電気自動車やスマートフォン、ノートパソコンなどに使用される現代生活の必需品となっている。吉野さんは開発者の1人として、2019年にノーベル化学賞を受賞した。
「独創的な発想と技術の理解が重要」
講演では、吉野さんが1980年代に開発に着手した新型電池が、試行錯誤の末にリチウムイオン電池として実用化された経緯を紹介。新しい発見を生み出すために重要なのは「独創的な発想を持つことと(基本的な)技術を理解しておくことだ」と指摘した。
2050年に全ての車が電動化
また、参加した生徒たちが社会人として成長した「未来の世界」にも言及。2050年には全ての車が電動化し、AI(人工知能)による無人自動運転が一般化すると予測した。その上で、「自分で運転しないため、マイカー(個人所有)という概念がなくなりシェアリング(共有)になるとの見方もある」と語った。
変化の著しい現代社会で、世界を変えるような独創的なアイデアを生み出すためには、「二つ以上の異なる専門分野を極めるといい。それらを組み合わせることにより、将来大きな成功につながる可能性がある」と助言した。
「徹底的に自分を苦しめて」
講演後の質疑では、男子生徒から「高校時代に経験しておくべきこと」について問われた。吉野さんは、地元・大阪の淀川沿いで長距離走の練習に打ち込んだ自身の高校時代の思い出を紹介。苦しみながらも走った際、疲労がふと消えて高揚感に包まれる「ランナーズハイ」を経験したと言い、「徹底的に自分を苦しめて乗り越える経験をしてもらいたい」と訴えた。
女子生徒から、他人と比較して落ち込んだ場合の対処法について問われると、「自分を客観的に見ることが重要。人の成功例を参考にしながら、自分の力や経験、知識を踏まえて取り組むといい」と語りかけた。



