京成本線谷津駅の南口から続く商店街を進むと、異国情緒のある白い建物が現れる。「cafe螢明舎(けいめいしゃ) 谷津店」だ。特徴的な形の屋根など、外観は異国情緒が漂う。扉を開けると、こうばしい香りが漂ってくる。オーナーの下田理絵子さん(58)が、フランネルで丁寧にコーヒーをいれていた。
店内のテーブルと椅子は全て木製。少し暗めのオレンジ色の照明が、落ち着いた雰囲気を醸し出す。カウンターの奥の棚には、色鮮やかな洋食器が所狭しと並ぶ。理絵子さんは「のんびり非日常を感じられる空間づくりを心がけている」という。
画家を目指した夫が1982年に開店
画家を目指していた夫の荘一郎さんが、1982年にフレンチスタイルの喫茶店として開店。2階はアトリエで、店を営みつつ作品制作に励んだ。2022年に荘一郎さんが他界した後は、理絵子さんが経営を引き継いだ。
作家の村上春樹さんとの縁でも知られている。荘一郎さんは、かつて村上さんが東京都内で経営していたジャズバーの常連で、親交があったという。村上さんは何度か螢明舎を訪れており、エッセーや小説に、螢明舎や荘一郎さんの飼い猫をモデルにした猫が登場したこともある。
人気はフランネルコーヒーと手作りタルト
人気のブレンドコーヒー(税込み700円)は、酸味のあるロア・ブレンドと、苦味のあるケア・ブレンドの2種類。ケア・ブレンドを注文してみると、コクのある苦味が口の中に広がり、ほんのり甘さが残る。フランネルでいれると、深煎り豆のコクが出やすいという。
デザートもお薦めだ。店内の調理場で手作りしているイチジクとプルーンのタルトなど、ケーキやタルトは9種類あり、洋ナシやイチジクなどフルーツをふんだんに使う。理絵子さんも「コーヒー店で、これだけの種類を生地から手作りするのは珍しい」と自負する。
変わらぬイメージを守りたい
久しぶりに訪れた客が「本当に変わっていない」と懐かしがることも多いという。理絵子さんは「料理も空間も、かつてのイメージを崩さないようにしたい」と話した。(文・写真 落合俊)
店舗情報
- 住所:千葉県習志野市谷津4の6の34
- アクセス:京成本線谷津駅から徒歩3分
- メモ:金曜定休(祝日の場合は営業)。営業時間は午前10時~午後8時。支払いは現金のみ
- 問い合わせ:047・451・1669
記者のお気に入り 世界のバラ800種
螢明舎から徒歩3分ほどの公園内にある「習志野市谷津バラ園」は、世界各国の800種類、計7500株のバラが楽しめる。見頃となるのは5月中旬と10月中旬で、シーズン中は多くの来園者でにぎわう。オレンジ色の「ローズ・50ならしの」など貴重なバラもある。シーズン外の夏は剪定教室などのイベントが開かれる。
遊園地「谷津遊園」の施設として1957年に開園し、65年に現在地に移った。82年の遊園地閉園に伴って閉鎖されたが、市民の要望に応え、88年に市内唯一のバラ園として復活した。同園の担当者は「見頃の時期には、視覚と嗅覚でバラを楽しんでほしい」と話す。問い合わせは同園(047・453・3772)。



