深海熱水噴出孔の微生物、電気でCO2から有機物合成を実証
深海熱水噴出孔の微生物、電気でCO2から有機物合成

海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの研究グループは、沖縄の深海熱水噴出孔の近くに生息する微生物が、電気エネルギーを用いて二酸化炭素(CO2)から有機物を作り出し増殖することを実証した。これは光合成の「光」を「電気」に置き換えたような合成反応であり、光や有機物が少ない環境でも微弱な電気を利用すれば生命活動を維持できることを意味する。

地球の岩盤であるプレートの境界にある深海底には、海水が地熱で温められ高温の水となって噴き出す熱水噴出孔が存在する。噴出孔の周りには、冷えて析出した沈殿物が煙突状に堆積した「チムニー(煙突)」が形成される。

実験で電気合成を確認

JAMSTECの山本正浩副主任研究員(微生物学)らは、チムニー周辺で放電現象により約600ミリボルトの電位差が生じていることを2017年に実証していた。研究チームは同等の環境を実験室で再現し、有機物を除いた状況でも深海熱水噴出孔近くで採取した岩石片の微生物が増えるかどうかを調べた。

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人工海水に岩石片をつけ、水温15度、CO2濃度10%の空気下で電気を流し、1週間ごとに微生物の種類や細胞増殖を観察。すると、桿菌であるチオミクロラブダス属細菌SREC-4株が増加し、生存微生物の中で最大の割合を占めるようになった。

CO2取り込みの直接証明

増えたSREC-4株が実際にCO2を細胞内に取り込み有機物に変換しているかを確認するため、蛍光染色と二次元高分解能二次イオン質量分析装置(NanoSIMS)を用いた同位体標識実験を実施。CO2由来の炭素の取り込み位置と染色位置が一致し、SREC-4株が電気合成を行っていることを示した。

山本副主任研究員は「潮干狩りで白い砂から黒い砂に変わる場所や金属鉱物の取れる鉱山など、酸化還元境界は身近にも存在する。深海熱水噴出孔はその最たる例だが、他の自然環境でも電気合成をする細菌がいるか今後探したい」と述べている。

本研究は横浜市立大学や東京大学との共同で行われ、英科学誌「ISMEジャーナル」電子版に6月23日付で公開された。

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