中東情勢の緊迫化を背景に、ナフサなどの石油化学製品の供給不安が続いている。帝国データバンクの調査によると、約70%の企業が事業活動への影響の強まりを実感。51.7%が在庫確保を進めるなど、供給リスクへの備えを強化していることが分かった。
事業活動への影響、69.4%が実感
事業活動への影響について、パニックが見られた3~4月時点と5月調査時点を比較して「影響の強まりを実感している」と回答した企業は69.4%に上った。影響の内容としては「原材料・部材の仕入れコスト上昇」(83.9%)が最も多く、以下「調達不安定・入手困難」(73.0%)、「調達リードタイムの長期化」(50.2%)が続いた。
調達面で支障が生じている素材
調達面で支障が生じている素材は「化学系加工素材」(29.6%)、「包装・物流素材」(20.2%)、「設備・建設・電子部材」(13.9%)が上位を占めた。支障が生じている素材の上位はいずれも原料そのものではなく、加工・物流段階での素材だった。
業種別の在庫保有期間に大きな差
帝国データバンクは、業種別に上流・中流・下流産業に分類し、支障が生じている素材の在庫保有期間から、それぞれの商流上における在庫日数を推定、比較した。
その結果、基礎素材・素材供給を担う上流産業の平均在庫量は50日分、中流産業では「一次加工」で52日分を確保していた。一方、中間流通を担う「販売・流通」は39日分にとどまった。
下流産業では在庫量に業種差があり、最も少なかったのは「建設業」で24日分にとどまった。自動車や食品製造など「最終組立」は56日分、「小売・サービス・インフラ」は45日分だった。下流全体で一律に在庫が少ないわけではなく、現場ごとに様子が異なる建設関連など、一部の業種で在庫余力が限られている。
帝国データバンクの分析
帝国データバンクは「ナフサ由来の製品群における影響は、全面的な供給停止というよりも、商流や業種によって在庫の持ち方に偏りが生じ、一部の素材・業種で調達の目詰まりが起きやすい状況である。上流や一次加工では一定の在庫を確保している一方、中間流通や建設業などでは、需要の変動や納期不安を在庫で吸収しにくい面がある」と分析した。
企業が実施している短期的な取り組みでは「在庫の確保」(51.7%)が半数を超えた。「価格改定」(39.5%)、「取引先への納期・価格・仕様の再交渉」(37.8%)と、価格や取引条件の見直しを進める企業も多かった。
経済産業省の見通しと調査概要
経済産業省は6月時点で、ナフサ由来の化学製品を含む石油化学製品について「年度を越えて供給継続できる」との見通しを示す一方、一部では供給の偏りや流通の目詰まりが生じているとしている。
帝国データバンクは「中東情勢の緊迫化によるナフサ供給不安は、企業にとって調達体制だけでなく、収益構造や経営基盤そのものを見直す局面だ」とコメントした。
調査は5月21~31日、インターネットで実施した。有効回答企業数は4604社。



