米ラスカー財団は9日、米国最高の医学賞「ラスカー賞」の今年の受賞者を発表した。基礎医学賞に睡眠と覚醒を調節する神経伝達物質を発見した柳沢正史・筑波大教授(66)ら2人、臨床医学賞に血友病の治療薬を開発した中外製薬の服部有宏・元シニアフェロー(66)ら3人を選んだ。日本が2部門で受賞するのは初めてとなる。
柳沢氏、オレキシン発見とナルコレプシー解明
柳沢氏は、米テキサス大サウスウェスタン医学センター教授だった1998年、動物の脳の抽出物から神経伝達物質「オレキシン」を発見。その欠乏が、強い眠気に襲われる睡眠障害「ナルコレプシー」の原因だと突き止めた。柳沢氏の研究は新しい睡眠薬の開発を加速させたほか、武田薬品工業のナルコレプシー治療薬「オベポレクストン」(商品名オーゼイフル)も今年8月に日米で承認された。
米スタンフォード大のエマニュエル・ミニョ教授との共同受賞となった柳沢氏は、読売新聞の取材に「睡眠科学分野が評価されるようになってうれしい」と述べた。
中外製薬チーム、血友病治療薬を開発
服部氏と、北沢剛久・中外製薬研究本部副本部長(57)、井川智之・同本部長(49)は、血が止まりにくい血友病Aについて、血液の凝固を助けるたんぱく質の働きを抗体で代替する治療薬「エミシズマブ」(商品名ヘムライブラ)を開発した。
3人は2000年に服部氏が着想したアイデアを基に研究を進めた。動物実験で止血効果を示せず開発を中断したこともあったが、約4万種の抗体から有望な候補を見つけ、10年にエミシズマブとなる抗体を選定した。従来の治療では頻繁な静脈注射が必要だったが、エミシズマブは月1回の皮下注射で効果があり、全世界で3万人超の患者が使用してきた。
服部氏は取材に「『世のため、人のため、患者さんのため』を合言葉に研究を続けてきた。栄誉あるラスカー賞をいただけるとは思っていなかったが、大変光栄に思う」と述べた。
ラスカー賞とノーベル賞の関連
ラスカー賞は、受賞者がその後、ノーベル賞を受賞することも多い。日本では今年7月に亡くなった利根川進氏と、山中伸弥・京都大教授(64)が受賞後にノーベル生理学・医学賞を受賞した。日本のラスカー賞受賞は14年の森和俊・名城大教授(68)以来となる。



