厚生労働省は22日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心臓病治療用の再生医療製品について、公的医療保険を適用する案を中央社会保険医療協議会(中医協)に提示し、了承された。公定価格は5320万円で、9月から保険適用される。iPS細胞由来の製品の実用化は、5月に保険適用になったパーキンソン病治療用の製品に続いて2例目となる。
製品の概要と対象患者
心臓病治療用の製品は、iPS細胞から作った心筋細胞をシート状に加工した心筋細胞シート「リハート」で、大阪大発の新興企業のクオリプスが開発した。狭心症や心筋梗塞などで心臓の働きが悪くなる虚血性心筋症を発症し、重症心不全を起こした患者が対象となる。薬物治療など標準治療の効果が不十分な人に限られる。心臓の表面に3枚貼る。
心筋細胞から分泌されるたんぱく質などが働き、心臓の機能を改善させることが期待されている。
臨床試験の結果
国内で行われた初期段階の臨床試験では、患者8人に使用し、26週後に2人で心臓のポンプ機能の改善が確認された。52週後には4人で、運動機能に関わる指標が改善した。iPS細胞由来の製品で懸念される腫瘍の発生は起きていない。
承認と今後の課題
厚労省は3月、安全性が確認され、有効性が推定されるとして、条件・期限付きで製造販売を承認した。クオリプスは、本承認を得るために、2033年の期限までに有効性を証明する必要がある。75人を目標に使用し、心臓の機能の変化などを詳しく調べることになる。
22日の中医協では、医療機器として保険適用の審議を行い、公定価格は5320万円と示された。高額療養費制度を利用すれば、患者の自己負担額は多くても数十万円となる。



