世紀の難問とされる数学の「ABC予想」の証明に使われた京都大学の望月新一教授(57)の独自理論「宇宙際タイヒミュラー理論(IUT理論)」について、ZEN大学などの国際研究チームは17日、中間報告を発表し、「理解できていない重要な点が残っている」と明らかにした。数学的なギャップ(飛躍)の可能性もあるが、現時点で結論は下せないとし、検証の難しさが改めて浮き彫りになった。
ABC予想とは
ABC予想は1985年に提唱された整数論の超難問で、「20世紀最高の予想の一つ」とも称される。もし正しければ、連鎖的に多くの他の難問が解決可能になるとされる。その証明に用いられたIUT理論は、従来の数学の常識では不可能とされる操作を可能にする革命的な理論として注目されてきた。
望月氏は2012年に論文を公表し、2021年に数学誌「PRIMS」に掲載されたが、数学界の合意は得られていない。IUT理論は独創性が高く難解で、世界に理解者は約20人しかいないとされ、「証明に欠陥がある」との指摘も絶えなかった。
検証プロジェクトの中間報告
ZEN大学などのチームは、数学の定理の正しさを判定するソフト「Lean(リーン)」を用いた検証を計画。2024年9月からIUT理論をコンピューターコードに書き直す作業を進めてきた。中間報告では、IUT理論の中核定理のコード化が現時点で完了していないことが明らかにされた。中核定理が成り立たなければ、理論全体の有効性が否定される可能性がある。
コード化が進まない理由については、理論に論理の飛躍があるためか、チームの理解が不十分なためか、両方の可能性があるとしている。
研究者のコメントと今後の展望
プロジェクトを率いるZEN大学の加藤文元教授は、「まだ完全な解像度ではないが、『ここ』をなんとかすればいいということは示せた。世界中で挑戦する人が出てくるかもしれない」と期待を語った。
一方で、懐疑派の指摘については「粗い」とし、より精密な検証が必要と述べている。IUT理論の正否を巡る議論は、今後も継続するとみられる。



