群馬大医学部付属病院が県内初の新型植え込み型除細動器手術に成功
群馬大学医学部附属病院(前橋市)は、致死性の不整脈を防止する新型の植え込み型除細動器「血管外植え込み型除細動器(EV-ICD)」の手術を群馬県内で初めて成功させたと発表しました。この手術は、専用手技を習得した医師のみが実施できる高度医療であり、米国で技術を学んだ循環器内科の田村峻太郎講師が執刀しました。
手術の詳細と新技術の特徴
手術は3月18日に全身麻酔で行われ、約2時間を要しました。使用された機器は、日本メドトロニック製で昨年3月に発売されたもので、国内では既に500例以上の導入実績があります。植え込み型除細動器は、心室細動など命に関わる重い不整脈が発生した際に、電気ショックで心拍を正常に戻す医療機器です。
従来型の除細動器では、電気を流すリード線を血管内や皮下に通していましたが、血管内方式では血管や心臓への癒着や損傷のリスクがあり、皮下型では異常に速い脈を電気刺激で止める「抗頻拍ペーシング」機能が使用できない課題がありました。
今回導入されたEV-ICDは、リード線を血管内に入れず、胸腔内に通して心臓近くに留置する新方式を採用しています。これにより、血管との癒着を避けつつ、抗頻拍ペーシング機能も利用できるのが大きな特徴です。さらに、従来の除細動器が約60立方センチの体積であったのに対し、新型は33立方センチと半分程度の小型化を実現し、これまで植え込みが難しかった体の小さい人や小児にも適応可能となりました。
専門的なトレーニングと今後の展望
EV-ICDの植え込みには、専用のトレーニングプログラムの受講が必要であり、国内でのトレーニングは難しい状況です。現在、同院では田村講師のみが執刀可能で、高度な技術を要する医療として位置づけられています。田村講師は、「従来の機器では適応が難しかった患者に対し、新たな治療選択肢として貢献できることを期待している」と述べ、今後の医療現場での活用に期待を寄せています。
この成功は、群馬県内の医療技術の進歩を示すとともに、小児や体の小さい患者への治療機会を拡大する重要な一歩となりました。EV-ICDの導入により、より多くの命を救う可能性が高まることが期待されます。



