唾液を送るだけで自分の体質や遺伝的特徴を分析できる遺伝子検査サービスが注目を集めている。健康管理や予防医療への関心の高まりを背景に、日頃からコンディション維持に気を配る富裕層や経営者層からも支持されている。事前に起こりやすい健康リスクを知り、予防策に役立てるというわけだ。
「chatGENE Pro」の概要と検査方法
今回体験したのは、株式会社KEAN Healthが販売する遺伝子検査キット「chatGENE Pro」である。このキットでは、体質や性格といった遺伝的傾向を500項目にわたって調査できる。内訳は、がんや一般疾患の発症リスク(165項目の「予防」)、性格や運動適性(235項目の「体質」)、独自アルゴリズムによる疾患リスク分析(100項目)となっている。価格は2万5,300円(税込)。
検査方法は非常にシンプルだ。送られてくるキット内の説明書に従い、唾液を採取し、専用の保存液とともに容器に入れ、検査機関に発送するだけ。結果は検体送付から2~3週間で届く。キットには、唾液採取用のろうと付き容器、容器のふた、保存液が同梱されている。ろうと付き容器の黒線まで唾液を入れ、保存液を加えてよく混ぜ、同封の封筒に住所と名前を記入して郵便局に出すだけで完了する。
検査結果:2型糖尿病と脂質異常症のリスクが高いと判明
2~3週間後、検査結果のお知らせが届いた。「MY REPORT」画面から「予防」項目を確認する。予防の詳細画面では、がんカテゴリーが呼吸器、消化器、乳腺、生殖器、腎泌尿器、内分泌、脳神経、皮膚、耳鼻咽頭、筋骨格、血液、免疫の12分野、一般疾患が感染、脳神経、呼吸器、心脳血管、内分泌、消化器、腎泌尿器、生殖器、血液、免疫、眼、耳鼻咽喉、歯、皮膚、筋骨格、精神の16分野にわたって遺伝的な発症リスクが表示される。
筆者の場合、呼吸器系がんの遺伝的リスクは高くなく安心したが、一般疾患の「内分泌」項目で注目すべき結果が出た。2型糖尿病と脂質異常症の遺伝的リスクが高いと判明したのだ。特に2型糖尿病に関しては、日本人平均の遺伝的リスクが「11.27」であるのに対し、筆者は「13.00」と、人口比率グラフでも平均より高い位置にあることが確認できた。さらに、同じページでは遺伝子における2型糖尿病の影響因子や、同じ遺伝子を持つ日本人全体の人数も確認できる。
遺伝要因と環境要因の影響を理解する
疾患は大きく3パターンに分類される。ダウン症や血友病のように遺伝要因で発症する遺伝子性疾患、食中毒のように環境要因のみで発症する疾患、そして大部分を占める遺伝要因と環境要因の両方の影響を受ける疾患である。chatGENE Proの検査項目にある疾患はすべて後者に該当する。
疾患ごとに遺伝要因と環境要因の影響割合は異なる。例えば2型糖尿病では遺伝要因が64%、環境要因が36%だが、肺がんの場合は遺伝要因が14%、環境要因が86%である(出典:『ジエンド・オブ・イルネス:病気にならない生き方』2013年)。遺伝的に肺がんリスクが高い人でも、喫煙を控えることで総合的な発症リスクを軽減できる。
筆者の場合、発症の遺伝要因が6割を超える2型糖尿病において、遺伝的リスクが平均より高いという結果が出た。しかし、発症要因の36%は高カロリー・高脂肪の食事、運動不足、肥満といった環境要因であるため、生活習慣を改善すれば全体的なリスクを抑えることが可能だ。筆者自身、スイーツなどの間食が増えがちなため、今後見直していきたい。
その他の分析:祖先解析やスポーツ適性も
chatGENE Proでは、疾患リスクや体質のほかに、民族的ルーツが分かる「祖先解析」、遺伝的に適したダイエットを教えてくれる「ダイエット」、遺伝的に得意なスポーツが分かる「スポーツ」、現在の自分と生まれ持った自分の両方から自己分析できる「性格診断」といったスペシャルコンテンツも充実している。家族や友人との話題、ビジネスシーンのアイスブレイクにも活用できそうだ。
自分では健康だと思っていても、遺伝子レベルで見ると意外な弱点が見つかることがある。健康診断が現在の状態を知るためのものだとすれば、遺伝子検査は将来に向けた健康管理のヒントを得るためのツールと言える。自分の体質やリスクを客観的に確認したい人には、試してみる価値があるだろう。
※本検査は遺伝的な体質の傾向や病気のリスクを算出するものであり、検査時の健康や疾患の状態を診断するものではない。また、医療行為に該当するものではなく、それを代替するものでもない。



