ドナルド・トランプ前米大統領(78)は13日、ペンシルベニア州バトラーで行われた選挙集会で演説中に銃撃を受け、右耳上部を負傷した。命に別条はなく、病院で手当てを受けた後、無事が確認された。米連邦捜査局(FBI)はこの事件を暗殺未遂事件として捜査している。
事件の経緯と詳細
現地時間午後6時過ぎ、トランプ氏が集会で演説を始めてから約10分後、複数の発砲音が響いた。トランプ氏はすぐに手を耳に当ててしゃがみ込み、シークレットサービス(米国土安全保障省管轄の警護組織)のエージェントが即座に演壇を取り囲んだ。トランプ氏はその後、拳を振り上げながら舞台裏に連れて行かれ、ヘリコプターで病院に搬送された。
FBIピッツバーグ支局のケビン・ロジェック特別捜査官は記者会見で、「本件を暗殺未遂事件として扱っている」と述べた。また、容疑者は20歳のトーマス・マシュー・クルックスで、集会会場から約150メートル離れた建物の屋上からライフルで発砲したとみられる。容疑者はシークレットサービスによって射殺された。集会に参加していた男性1人が死亡し、他に2人が重傷を負った。
トランプ氏の反応と周囲の影響
トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に声明を投稿し、「弾丸が私の右耳の上部を貫通した。多くの出血があったが、全体的に何が起きたのかを理解している」と述べた。また、「私は神の恩寵によって無事だった」と感謝の意を示した。
ジョー・バイデン大統領は事件後、緊急の記者会見を開き、「アメリカではこのような暴力は許されない。国民の団結を呼びかけたい」と述べ、トランプ氏との電話での会話を明らかにした。バイデン氏はまた、選挙キャンペーンを一時中断し、ホワイトハウスに戻ることを発表した。
共和党のミッチ・マコーネル上院院内総務は「政治的な暴力は民主主義への攻撃だ」と非難し、超党派での調査を求めた。一方、下院のマイク・ジョンソン議長(共和党)は「暗殺未遂は許されない。徹底的な調査が必要だ」と述べた。
今後の影響と捜査
FBIは容疑者の動機を調査中で、過去のソーシャルメディアの投稿や交友関係などを調べている。容疑者は2022年に高校を卒業し、地元のコミュニティカレッジに在籍していたことが判明している。また、犯行に使用されたライフルは合法的に購入されたものとみられる。
この事件は11月の大統領選挙に大きな影響を与える可能性がある。トランプ氏は共和党の大統領候補として指名される見通しであり、事件後、支持者の間で同情と怒りが広がっている。専門家は、これがトランプ氏の支持率を一時的に押し上げる可能性があると指摘する。ただし、長期的な影響は不透明だ。
シークレットサービスは集会の警備体制について内部調査を開始し、なぜ容疑者が屋上から発砲できたのかを検証している。議会でも公聴会の開催が検討されている。



