2026年のノーベル化学賞が、東京理科大名誉教授の硤合憲三(そあいけんそう)さん(76)に贈られることになった。生命の起源に迫る化学反応を発見したというが、その業績はどのようなものなのか。
化学100年の謎に迫る発見
右手と左手は、どちらも親指から小指まで同じものでできているのに、同じ形ではなく、鏡に映したように対になっている物質がある。私たちの体をつくるアミノ酸などの物質にも、こうした「右手型」と「左手型」が存在する。
人工的につくると、両方が同じくらいずつできるが、地球にいる生き物の体はほとんど片方の型だけでできている。なぜそんな偏りがあるのかは長い間、謎だった。
硤合さんは、物質をつくるときに、つくられた物質が自分と同じ型ができる手助けをする反応を見つけた。初めにほんの少しだけ多かった方の型がどんどん増え、反応を繰り返すうちに差が雪だるまのように広がって、最後はほぼ片方だけになることを確かめた。
「硤合反応」とその成果
1995年の論文で報告されたこの発見は「硤合反応」と呼ばれるようになった。2003年に報告された実験では、ほとんど差がない状態から始めて、3回くり返すと99.5%以上が片方になったという。
いちばん大きな成果は、生命の起源に迫る点にある。この反応によって、生命がどのようにして片方の型だけを選び取ったのかという謎を解明する手がかりが得られたとされる。