タンザニア孤児支援30年、長野のりんご農家夫婦の歩みをドキュメンタリーで
タンザニア孤児支援30年、長野のりんご農家夫婦の歩みをドキュメンタリーで

第35回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『りんごと家族とタンザニア』(長野放送制作)が、6日26時30分からフジテレビで放送される(関東ローカル)。タンザニアで出会い、長野県でりんご農家を営みながら孤児支援を続けてきた小林一成さん・フィデアさん夫妻と、その家族の30年間を追う。

母国で孤児を支えたい――日本から広げた活動

長野県飯綱町のりんご農家に生まれた一成さんは、32歳で青年海外協力隊としてタンザニアへ赴任。そこで当時21歳だったフィデアさんと出会い、結婚した。異なる文化や価値観の中で育った2人は、1996年に日本へ帰国。一成さんの高齢の両親と同居し、言葉や生活習慣の違いを一つ一つ乗り越えながら、りんご農家としての生活を築いていった。

日本での暮らしに慣れていく中、フィデアさんの胸には母国タンザニアで、母が続けていた孤児支援を自分も続けたいという夢があった。フィデアさんの母は自宅で孤児たちを引き取り、育てていた。支援をさらに広げたいと考えたフィデアさんは、一成さんとともに日本でも活動を開始。募金や講演活動、NPOの設立を通じ、孤児院の建設や教育支援へと取り組みを広げていく。

資金難を乗り越え、支援の新たな循環が生まれる

その道のりは決して平坦ではなく、コロナ禍や経済状況の悪化によって資金難に直面し、活動の継続が危ぶまれたこともあった。それでも夫妻は歩みを止めず、支援を続けてきた。

活動開始から25年を経たタンザニアでは、孤児院を卒業した子どもたちが社会で自立し、今度は支援する側へと回る新たな循環も生まれ始めている。さらに、娘のサラさんも独自の視点から支援の形を提案し、その思いは次の世代へと受け継がれていく。

義母の介護と向き合い、看取りまで経験

一方、日本の自宅では、一成さんの母の介護という大きな出来事にも直面した。フィデアさんは介護資格を取得するために学び、異国の地で義母を支える存在として奮闘。やがてその最期を看取った。

番組を手がけた東澤鈴美ディレクターが、改めてフィデアさんにカメラを向けるきっかけとなったのも、この姿だった。東澤Dは「結婚25年を迎えた節目に久しぶりに訪ねると、そこには96歳となった義母の介護に真摯に向き合う姿があり、その姿に心を動かされ、再びカメラを向けることにしました」と振り返る。

自宅での介護と並行しながら、母国タンザニアでの孤児支援も続けるフィデアさん。そのそばには常に一成さんの支えがあったという。東澤Dは「番組では、一成さんのまなざしを通して、長野のりんご農家暮らし、家族の絆、そして国際支援の30年間を描きました」と説明。「戦争などが絶えない世界の中で“小さな積み重ねが誰かの力になる”、そんな思いが届けば幸いです」と作品に込めた思いを語っている。

また、番組のテーマとして思い浮かべた楽曲「風に立つライオン」のイメージを随所に散りばめ、物語に寄り添わせたという。りんご作り、異文化の中で築いた家族、そして海を越えて続ける国際支援。番組は、その三つが重なりながら紡がれてきた小林家の30年を見つめる。