スーパーには「低糖質」「高たんぱく」「無添加」など、健康によさそうな表示の商品が並んでいる。一方で、病院で30年以上にわたり栄養指導を行ってきた管理栄養士の林安津美さんは、食品を選ぶ際にパッケージの印象だけで判断せず、原材料表示や栄養成分表示を確認しているという。そんな林さんが、日常的にはなるべく買わないという食品とは? その理由と、食品選びでチェックしたいポイントを聞いた。
食品選びで確認する5つのポイント
スーパーで食品を選ぶ際、林さんが確認しているのは、「原材料表示」「栄養成分表示」「食塩相当量」「糖質・脂質」「食品添加物」の5つ。ただし、「○○が入っているから買わない」と一つの成分だけで判断するのではなく、どのくらいの量を、どのくらいの頻度で食べるのかも含めて考えているという。
まず確認したいのが原材料表示だ。原則として使用量の多いものから順番に表示されているため、最初の数項目を見るだけでも、その食品に何が多く使われているのかが分かる。似た商品で迷ったときは、原材料表示を比較し、できるだけシンプルなものを選ぶこともある。栄養成分表示では、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量を確認する。特に注意したいのが表示単位で、「100g当たり」「1個当たり」「1包装当たり」など商品によって異なるため、自分が実際に食べる量に置き換えて考えることが大切だ。
なかでも食塩相当量は、総菜、弁当、麺類、加工肉、漬物、スープなどを選ぶ際によく確認する。また、菓子パンや菓子類、清涼飲料水などは糖質・脂質にも注目する。「糖質オフ」「脂質オフ」「砂糖不使用」などの表示だけで判断せず、栄養成分表示全体を見るようにしている。食品添加物についても、原材料表示で確認するが、「添加物が入っている=体に悪い」と考えているわけではない。添加物には、保存性を高めたり、食品の安全性を保ったりするために使われるものもある。数だけで食品を避けるのではなく、塩分や糖質、脂質、エネルギー、栄養バランス、食べる頻度などを含めて判断している。
大切なのは、「低糖質」「高たんぱく」「無添加」といったパッケージの表示だけで決めないこと。裏面の原材料表示や栄養成分表示を確認し、その食品を普段どのくらい食べるのかまで考えることだ。
買わない食品1:菓子パン
菓子パンは、林さんがなるべく日常的には買わない食品の一つだ。パンなので「食事」というイメージがあるが、商品によっては砂糖や油脂を多く使用しており、糖質と脂質を同時に多く摂りやすく、エネルギーも高くなりがち。菓子パンだけで朝食や昼食を済ませてしまうと、たんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが不足し、栄養バランスが偏りやすくなる。
代わりにおすすめしたいのは、シンプルな食パンや全粒粉・ライ麦などを使ったパン。菓子パンのように砂糖や油脂を多く使用したものより、原材料が比較的シンプルなものを選び、全粒粉などを使用した商品では食物繊維量も栄養成分表示で比較するとよい。ただし、パンだけでは栄養が偏りやすいため、ゆで卵、チーズ、無糖ヨーグルト、牛乳、野菜などを組み合わせることがポイント。例えば「クリームパンとコーヒー」ではなく、「全粒粉パン+ゆで卵+無糖ヨーグルト+野菜」とすると、たんぱく質や食物繊維なども補いやすくなる。
買わない食品2:カップ麺・インスタント麺
カップ麺・インスタント麺で特に気になるのが食塩相当量だ。商品によって異なるが、麺だけでなくスープにも多くの塩分が含まれているものがあり、脂質が多くなる商品もある。さらに、カップ麺だけで1食を済ませると、野菜や食物繊維、たんぱく質などが不足しやすく、食事全体のバランスが整いにくい点も気になる。
麺類を食べたい場合は、そばやうどんなどを選び、卵、肉、豆腐、わかめ、きのこ、野菜などを加えるのがおすすめ。市販の麺類を選ぶときに特に確認するのは「食塩相当量」で、同じような商品でも塩分量には差があるため、栄養成分表示を比較する。カップ麺を食べる場合でも、スープを全部飲まない、野菜や卵を加えるといった工夫をすれば、塩分を抑えながら栄養バランスを整えやすくなる。
「買わない」ことより「どう付き合うか」を大切に
「絶対に食べてはいけない食品はない」と話す林さん。菓子パンやカップ麺も、たまに楽しむ程度であれば必要以上に怖がる必要はないという。後編では、残る3つの「買わない食品」と、それぞれの代わりに選びたい食品、そして食品選びで神経質になりすぎなくていいポイントについて詳しく聞いた。
林安津美さんは、管理栄養士。大学卒業後、JAあいち厚生連に入職。37年間、病院の管理栄養士として勤務し、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし、現在はたいや内科クリニックで患者に寄り添った医療を届けている。