100マイルレースを完走した父親と、数々のレースで優勝している12歳の娘が、山でのトレイルランニングで初めて真剣勝負を繰り広げた。その様子を捉えた動画がInstagramで67.3万回再生を超える反響を呼び、「最高の親孝行」「父が悔しくて嬉しい瞬間」「理想的な親子ですね」「これぞ父の背中を見て育つって事やね」などのコメントが寄せられた。父親に、親子でトレイルランニングを始めたきっかけや娘さんとの関係について話を聞いた。
3kmのトレイルで娘に完敗「悔しいがちょっぴり嬉しい」
動画は、3キロのトレイルランニングコースで父と娘が競い合う様子。父親は序盤からリードされるも懸命に追いかけるが、娘は軽やかな走りで差を広げ、ゴールでは父親が「負けた…」と悔しさをにじませる。一方で、娘の成長を実感し、複雑な心境をInstagramに綴った。
父親は取材に対し、「正直、とても悔しかったです(笑)。まだ負けるとは思っていなかったので、娘の成長スピードのすごさを改めて実感した日になりました。ただ、それ以上にうれしさもありました。親が長い時間をかけて積み重ねてきたことに、子どもが追いつき、追い越していく姿を見ることができるのは、とても幸せだと思います」と振り返る。
トレイルランニングを始めたきっかけ
親子でトレイルランニングを始めたのは、3年前の2023年3月。父親は「最初は一緒に山を楽しむことが目的でしたが、娘がどんどん力をつけていき、少し前から練習で競い合えるようになっていました。今年に入ってからは、本気で勝負できるレベルまで成長し、親としてはうれしい反面、『もうこんなに速くなったのか』と驚かされる毎日です」と語る。
また、親子ペアでトレイルランニング大会に出場した様子を収めた動画「パパが初めて表彰台に登った日」も投稿。トレイルランニングが親子にもたらす変化について、父親は「トレイルランニングの魅力は、親子が同じステージで苦しさや達成感を共有できることです。特に子どもは歩幅も小さく、大人と同じ距離や標高差に挑戦するだけでも大変。その姿を見ると、自然と親が子どもをリスペクトするようになります」と説明する。
絆を深める山での時間
一緒に山へ行くことで会話も増えたという。「苦しい場面では励まし合い、時にはぐずることもありますが、そんなときも怒るのではなく、成長の過程として受け止められるようになりました。苦しい登りを乗り越え、山頂や絶景にたどり着くと、『やり切ってよかった』という大きな達成感が生まれます。心身ともに鍛えられ、親子の絆も深まる。本当に素晴らしいスポーツだと感じています」と父親は語る。
170kmレース完走の夢「娘を肩車してゴール」
父親は、山の中を170キロ走るレース「Mt.FUJI 100」で完走した際、娘を肩車してゴールするという夢を叶えた。その瞬間は多くの人の感動を呼んだ。父親は「家族みんなが『パパは絶対にゴールする』と信じてくれていました。だからこそ、自分自身も『意識を失うか、動けなくなるような大きなケガでもしない限り絶対に止まらない』と決めていました。苦しい時間は何度もありましたが、その度に一歩ずつゴールへ向かうことだけを考えて進み続けました」と当時を振り返る。
肩車でゴールした理由については、「『Mt.FUJI 100』で娘を肩車してゴールすることが、ずっと私の夢だったからです。家族の支えがなければ完走できなかったレースだったので、最後は娘と一緒にゴールしたいという思いがありました。次の夢は、長女(高校1年生)を肩車して『ウルトラトレイル・デュ・モンブラン』をゴールすることです!」と語る。
娘の成長と父親の思い
トレイルランニング以外で娘さんの成長を感じた瞬間について、父親は「以前よりも我慢強くなり、自分に厳しく向き合えるようになったと感じています。また、普段からたくさんの方々に応援していただいていることもあり、人への感謝の気持ちや思いやりも育ってきました。競技の結果だけではなく、人として成長している姿を見るとうれしくなります」と話す。
娘さんの性格については、「とても真面目で、何事にも準備をしっかりして臨みたいタイプです。特に大会前になると、1週間ほど前から表情や雰囲気が変わります(笑)。それだけ真剣に向き合っている証拠だと思いますし、その姿勢は親としても尊敬しています」と明かす。
大切にしていること「前向きに・勉強熱心に・謙虚に」
子育てで大切にしていることについて、父親は「私自身、『前向きに・勉強熱心に・謙虚に』を大切にしています。娘がここまで成長できたのも、家族だけの力ではなく、多くの方々に応援していただき、仲間たちと楽しく挑戦できる環境があったからだと思っています」と語る。
幸せを感じる瞬間は、「レースやトレイルランニングが終わった後に、娘から『パパ、ありがとう』と言ってもらえるときです。子どもとの生活を通じて改めて感じるのは、『自然の中で生きることの素晴らしさ』です。子どもの遊びが制限されることも多い時代ですが、山には心も体も成長できる学びがあります。自然の厳しさや楽しさ、ルールや危険について伝えられるのは、自然の中で育ってきた自分だからこそできることだと思っています。これからも自然をリスペクトし、人への感謝を忘れず、山を楽しみながら、弱い自分に打ち勝って成長していってほしいですね。もちろん、それは娘だけでなく私自身も同じです」と締めくくった。



