確定申告で68万円が戻ってきた実例
高年収の会社員ほど、税金と社会保険料の負担で手取りが思うように増えない現実に直面している。年収1200万円の場合、手取りは年間約830万円から860万円程度にとどまる。しかし、同じ年収帯でも確定申告によって68万円の還付を受けている人が存在する。富裕層専門税理士の森田貴子氏は「富裕層への第一歩は、収入を増やすことではなく、税の仕組みを味方につけることだ」と指摘する。
都内在住の40代会社員Aさん(年収1200万円)は、独身時代に購入した都内ワンルームマンションを転居後も売却せず、月12万円で賃貸に出していた。管理費、修繕積立金、ローン利息、減価償却費などを合計すると、不動産所得は年間▲180万円の赤字となった。この赤字を給与所得と損益通算した結果、課税所得が圧縮され、源泉徴収済みの所得税から68万円が還付された。Aさんは「申告しなければ払いっぱなしだった税金が戻ってきた」と話す。
なぜワンルーム1室で節税効果が生まれるのか
不動産所得の赤字を給与所得と損益通算できる仕組みが、節税のカギとなる。給与所得者は通常、経費を差し引く余地が限られるが、不動産所得の損失を合算することで課税所得全体を減らせる。特に減価償却費は現金支出を伴わないため、実質的なキャッシュフローを損なわずに赤字を計上できる。
森田氏は「1億円の資産とは、すぐ動かせるお金を指す。不動産は流動性が低いが、節税効果と長期的な資産形成の両面で有効だ」と説明する。会社員が大家さん業を始める際は、家賃収入か売却益のどちらを狙うかを明確にすべきだという。購入時から売却まで課税対象となるため、税制を理解した物件選びが重要となる。
節税以外の注意点
いきなり海外物件に手を出すのは無謀だ。為替リスクや現地の税制、管理の煩雑さが伴う。まずは国内のワンルームマンションから始め、物件選びのチェックシートを活用して失敗を防ぐことが推奨される。
森田貴子氏は税理士歴30年、起業22年目。アーサーアンダーセンなど世界4大会計事務所を経て2003年に会計事務所を創業。Yoji Yamamoto、ダイエーなど100件以上の大型再生案件を担当し、富裕層の領収書1000万枚以上を分析してきた。著書に『億万長者になるお金の使い方』(SBクリエイティブ)などがある。



