スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作『ディスクロージャー・デイ』(公開中)から、車が列車に衝突する場面を捉えた本編映像が公開された。1971年の『激突!』で思い描きながら実現しなかったアイデアを、50年以上の時を経て形にしたシーンだ。
『激突!』で構想したシーンを半世紀越しに実現
本作は、スピルバーグが『ジュラシック・パーク』の脚本家デヴィッド・コープと組み、地球外生命体やUAP(未確認異常現象)をめぐる“最高機密”を題材に描くSFエンターテインメント。天気予報キャスターのマーガレット・フェアチャイルド(エミリー・ブラント)と、サイバーセキュリティの専門家ダニエル・ケルナー博士(ジョシュ・オコナー)が、謎の協力者の導きによって出会い、世界を揺るがす真実を全人類に「開示(ディスクロージャー)」しようと奔走する。
公開された映像では、踏切で停車しているマーガレットとダニエルの車に、「ワーデックス」の現場エージェント、ボイド(ヘンリー・ロイド=ヒューズ)が車で追突。後方から線路へと押し込まれる2人の前に、列車が迫る。ボイドが再び勢いをつけようとバックした隙に、ダニエルは「今だ、出ろ!」とマーガレットに呼びかけ、車からの脱出を試みる。しかし、車は列車に衝突し、そのまま引きずられていく。
原点はスピルバーグの初期作品『激突!』
この場面の原点にあるのが、スピルバーグの初期作品『激突!』。謎のタンクローリーに追われる主人公デヴィッド・マンを描いた同作で、監督は主人公の車を走行中の貨物列車へと追い込むアイデアを構想していた。完成した作品にも踏切で車を押される場面が登場する。
スピルバーグは「『激突!』では列車が通過してデヴィッドの車は衝突しなかったが、『ディスクロージャー・デイ』では私が本当にやりたかったことができた」と語り、長年温めてきたアイデアの実現を明かしている。列車は、スピルバーグが映画を撮り始めた少年時代にもつながるモチーフだ。半自伝的作品『フェイブルマンズ』でも描かれたように、少年時代には、おもちゃの列車を衝突させ、その様子をカメラで撮影していた。
過去作へのオマージュが随所に
本作に出演するコリン・ファースも、脚本に過去のスピルバーグ作品とのつながりを感じたという。「『未知との遭遇』だけでなく、『ブリッジ・オブ・スパイ』『ミュンヘン』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』など、多くの作品のDNAを受け継いでいる」と話し、「多くの異なるスピルバーグ作品の要素が組み込まれている」と評した。劇中には、幼少期のマーガレットが光に包まれた謎めいた家へ入っていく、『未知との遭遇』を思わせる場面も登場する。
数々の名作を世に送り出してきたスピルバーグならではの映画的な仕掛けが随所に盛り込まれた『ディスクロージャー・デイ』。過去作へのオマージュに思わずニヤリとしながら、監督の“映画愛”にも触れられる一作だ。