アジア大会、コンテナ宿舎に不満の声 名古屋で選手ら対応に苦慮
アジア大会、コンテナ宿舎に不満の声 名古屋で選手ら対応に苦慮

愛知・名古屋アジア競技大会(読売新聞社協賚)で、選手ら1万5000人超がコンテナ型宿泊施設やクルーズ船などに分散して宿泊している。巨大な選手村を建設することが多い五輪などとは異なり、今回は財源に限りがある地方都市ならではの「苦肉の策」でもある。「ベッドが狭い」など不満の声も上がるが、大会組織委員会は24時間態勢で選手の困りごとに対応し、信頼回復に努めている。

コンテナ型施設に不満、SNSで相次ぐ

名古屋市港区のガーデンふ頭の「アスリート・プラザ」には200棟のコンテナ型施設が設置されている。格闘技「クラッシュ」に出場したインドの女性選手、ピンキー・バルハラ選手(27)は、「静かで過ごしやすいが、十分な広さがあるとはいえず、ベストの環境ではない」と感想を語った。約30平方メートルの部屋で4人が「相部屋」になったという。

SNSでは選手たちの不満が相次いで投稿され、宿泊先を変更する選手団も現れた。韓国のバスケットボール女子、洪有純選手(21)は「コンテナ型施設に泊まる予定だったが、(先に宿泊した)男子チームの『ベッドが小さい』という話を受け、チームが用意した(既存の)ホテルに滞在することになった」と明かした。

組織委の対応と選手の評価

組織委は、各部屋に備えたオットマン(足置き)を使ってベッドを拡張してほしいと周知する。担当者は「勉強が足りなかった。選手から出されたニーズの一つ一つに向き合い、改善したい」と話す。

コンテナ型施設を好意的に受け入れる選手も少なくない。クラッシュのモンゴル女子代表、ビャンバスレン・ナイダスレン選手(22)は「私は身長1メートル80、仲間は1メートル95あるが特に困っていない。費用を抑えられるのは良いこと」と評価する。

周辺に開設された食堂は午前1時まで営業しているといい、クラッシュ男子の大吉賢選手(27)は「他の国際大会と比べても遅くまで開いていて、ありがたい」と話している。

クルーズ船は好評、交流の課題も

延べ約4000人が泊まるクルーズ船では「非日常の体験」を歓迎する声が目立つ。マレーシアから来日したムハンマド・エリー・ヒダヤット選手(26)は「自分のお金では泊まれないので、うれしい。食事もハラール食が用意され、全てが素晴らしい」。フィリピンのシノグブハン・アベガイル選手(26)も「海も眺められ、悪いところがない」と語る。

「船酔い」も特に問題になっていないようだ。韓国の許ミン景選手(30)は「大きな船なので、船酔いは気にならない」と話す。ただ、割り当てられた船室は窓がないタイプで、「昼か夜かも分からない。前回の杭州大会と比べると部屋も狭い」とこぼした。

選手の交流が乏しいとの課題も指摘される。コンテナ型施設の周辺では交流イベントが催されているが、既存のホテルを宿泊先に割り当てられた香港の陸上女子選手は「ホテルは快適だが、選手村がないので交流が少ない」と語った。

2施設の特徴

コンテナ型宿泊施設は、シャワー室やトイレ、洗濯機などを備える。大会終了後は撤去し、災害時の仮設住宅などへの活用を想定している。周辺には食堂や医務室などもある。

クルーズ船は、イタリア船籍の「コスタ・セレーナ」号(全長約290メートル)で、客室は約1500。コンテナ型施設やクルーズ船からは、各競技場に向かうバスなどが出ている。