四万十市議会の山崎司議長(73)は、連日うだるような暑さの中でも半袖スーツ「省エネルック」に腕を通す。国内有数の「高温地帯」として知られる高知県四万十市は、今年も25日に39・8度を観測した。今ではほとんど見かけることのない省エネルックを、山崎議長は愛用し続けている。
第2次オイルショックの中で登場
省エネルックが登場したのは1979年。第2次オイルショックのさなか、中東の政情不安などで原油価格は跳ね上がり、当時の大平正芳内閣は、テレビの深夜放送自粛やガソリンスタンドの日曜休業などを呼びかけた。
職場で冷房の設定温度引き上げが求められる中、政府が提案したのがノーネクタイと半袖スーツの省エネルックだった。大平首相自ら着用してPRに努めたが、「ださい」「新しいスーツを買わねばならない」などと不評で、社会に浸透しなかった。
羽田首相の姿に「これだ」
それでも、後の羽田孜首相を始め、着用し続ける人はいた。山崎議長もその一人だ。当時を振り返り、「かしこまった会議とか大切な人と会う時、上着がないとどうもしっくりこなかった」と話す。羽田首相が半袖スーツを着る姿を見て「これだ」と思い、なじみの洋服店であつらえたところ、意外と涼しかったという。
自宅の夏用スーツも半袖に仕立て直してもらい、現在はクローゼットに5着の「省エネスーツ」が並ぶ。
クールビズ時代も「私はこれが良い」
小池百合子・東京都知事が環境相時代の2005年に提唱した「クールビズ」は社会に定着した。今では開襟シャツはもちろん、職場でポロシャツ、Tシャツ、アロハシャツ姿も珍しくない。
6月のさなか、山崎議長は四万十市西土佐で営まれた田植え式にも省エネルックで参列していた。思い切って「クールビズの方が涼しいのでは」と尋ねてみた。
「そうだろう。でも、私はこれが良い」。角刈りの律義な昭和男は笑いながら、ぎゅっと腕を組んだ。(広浜隆志)



