「南国ですよね」に首をかしげる宮崎県の真実 霜やスキー場もあるのに
「南国ですよね」に首をかしげる宮崎県の真実

「鬼の洗濯板」と呼ばれる奇石群で知られる日向灘。写真はその景観を捉えたものである。

しかし、だからといって、宮崎は偽りの南国だったわけではない。まだ気軽に海外や沖縄へ行けなかった時代に、本土の人々の“南国への憧れ”を一身に受け止めていた場所だったと言えるのではないか。

戸惑いの理由は、“宙ぶらりん”な「南国」意識

「南国宮崎」は、単なる自然条件だけで生まれたものではなく、恵まれた気候や地理的な特性に、観光開発やメディア戦略が重なり合うことで、形作られてきたパブリックイメージである。だが、地元民の日常は必ずしもそのイメージ通りではない。それゆえに、県外の人から「宮崎って南国ですよね」と問われると返答には少し戸惑ってしまうのだ。

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宮崎県庁前にも2本のフェニックスがそびえる。ちなみにフェニックスは宮崎の県木である。

しかし、考えてみれば、「南国ですよね」と言われたとき、地元民は苦笑いこそすれ、「いや、全然違います」とは言わない。たとえ、南国らしくない現実をいくら並べたとしても、それを声高に主張したいというわけでもない。戸惑いの正体は、否定も肯定もしきれない、その宙ぶらりんな感覚なのかもしれない。

そしてその宙ぶらりんさは裏を返せば、「南国」を完全に手放したくないという気持ちの表れでもある。そう思って改めて宮崎を眺めてみると、その気持ちも無理はないと感じる。

日照時間の長さや晴天率の高さは全国トップクラスであり、年間を通して空が明るく、豊かな日差しが降り注ぐ。深い青をたたえた日向灘と、どこまでも続く水平線が生み出す独自の開放感は、山岳県であることなど思わず忘れてしまうほどに誇らしい気持ちになる。そして、昭和の新婚旅行ブームによって刻まれた「南国」の記憶も確かに残っており、「いやあ、宮崎なんて……」と言いつつも、どこかで「南国」を地元民としてのアイデンティティにしているところは否めない。筆者を含め、県外の友人を助手席に乗せて日南海岸沿いを自慢げに走ったことのある地元民は多いはずだ。

晴れの日の日南海岸沿いはドライブにもってこいである。

次ページが続きます:【南国らしさあふれる「道の駅フェニックス」】

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